「映画大好きポンポさん(アニメ映画)」

総合得点
80.2
感想・評価
205
棚に入れた
643
ランキング
471
★★★★★ 4.1 (205)
物語
4.3
作画
4.3
声優
3.9
音楽
4.0
キャラ
4.2

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ネタバレ

トロール夢民 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0
物語 : 2.5 作画 : 4.0 声優 : 1.0 音楽 : 1.0 キャラ : 1.5 状態:観終わった

好き放題に解釈

新人監督の視点を中心に、映画制作の裏側を描いた作品
主役の芝居が劣悪で、作品の質が大幅に低下している
この物語は、私の心には全く響かなかった
映画内では、トレーラーを作る際に「フィルムの外で内容を補完させ、視聴者の頭の中で完成させるテクニック」が語られていた
私は、この映画の本編でもそのテクニックが使われていると捉え、頭の中でこの映画を完成させることにした
作品内で映画の長さについての議論があった
引き算の美学・時間対効果・販売戦略に基づいて、映画の尺は90分にするべきだと力説されている
そのため、この映画の長さも90分にする必要が出てきてしまい、結果として原作にはない展開と場面を追加せざるを得なくなったようだ
その段階で、既に作品内で語られた論理と、実際の映画制作の作業内容が噛み合っていない
この齟齬をどう処理するかが、本作の制作時に乗り越えるべき一番の課題だったのではないだろうか
そもそも90分間を埋められる物量の物語ではなかったものを、原作にある90分至上主義の理屈に合わせて改変を余儀なくされ、その上で忖度も強いられるのだ
となれば、これはまさしくストレスフルな制作環境だ
物語の終盤で新人監督がシーンを削除しまくる様子には「だったら原作の重要パートも容赦なく削除してやらァ!」といった、本作の作り手の憎悪が込められているようにも思えてくる
そこには、原作内で偉そうに語られた映画制作理論に対する、現場からの回答といった構図も浮上する
作中では新人監督の意向が尊重される展開となる
しかし実際の現場では、監督が制約の中で不満を抱えながら表現を模索する戦いを強いられるように思えてならない
これが大方の現実であり、その監督によほどの実力と確かな実績が無ければ、商業作品で好き勝手に作らせてはもらえないだろう
映画版で追加されたシーンの一つである「未来に融資」という下りは、出資者のマインドはこうであってほしいという現場からの要請とも解釈できる
そして同時に、監督は矢面に立って明確にビジョンを語り、批判を受け止める義務があることも示されている
「社会不適合者の新人監督」が、情熱とオタク知識だけで表現を追求できる環境を手に入れられるほど、現実は甘くないからだ
しかしクレイジーという意味で社会不適合な性向を持つ人間ほど、博打のような生き方に適しているとは言えそうだ
苛立ちや憎しみ、疎外感や孤独を創作活動の原動力に変換することは、感情の平和的な処理方法としては悪くない
しかし、そうして生まれた作品が観る者の心を動かすかどうかは、また別の話だ
私は本作を観ても、全く感動しなかった
唯一、面白いと思えたのは、開始から40分が経過した頃に登場するマーティン・ブラドックが、私の頭の中でニコラス・ケイジ氏に置換された場面だけだ
ベテランの大物俳優のマーティン・ブラドックは、撮影現場で自らアイデアを提供し、劇中劇の物語内に鮮烈なターニングポイントを与える役割を買って出る(ここでは映画版オリジナルの演出が加わっている)
この時のマーティン・ブラドックの様子が、私の知るニコラス・ケイジ氏の生き様と重なったのだ
私は、大塚明夫氏が吹替をしているニコラス・ケイジ氏の芝居が大好きだ
私が言うのもおこがましい限りだが、ニコラス・ケイジ氏は、たとえB級映画に出演したとしても、決して侮られるような芝居をしないプロ中のプロだ(私が勝手にそう思っているだけだが)
そして何より、彼は映画制作を楽しむアクティブなハートを持っていて、彼が「乗っている時」の芝居は、文句なしに最高だ!
彼ほどの実力になると、現場で監督へ進言することも珍しくはない
例えば、同氏が主役を務めた『トゥ・ヘル』という映画では、ニコラス氏自身の発案による大胆な演出が実際に採用されている
同映画内で、ニコラス氏はアメリカ南部のワイルドな男を演じ、行きずりの関係を持った女の家で、女の娘と野性的なファック・シーンを熱演している
同映画の制作中、ニコラス氏は監督に「主役の男が、卑猥な内容を含む官能的な詩を朗読しながら、娘とファックするというのはどうだ?」と提案し、映画内に見事なクライマックスを作り出すことに貢献している(しかも、この時に朗読された淫らな詩は、なんと、ニコラス氏本人によって書かれたオリジナルのポエムだったのだ!!)
こうして好き放題に解釈し、かなりどうでもよい情報によって内容を補完することで『映画大好きポンポさん』という映画が多少は面白く感じられた、というのが正直な私の感想だ

投稿 : 2025/02/05
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