nyaro さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
やはり正史としては受け入れられない。よくできた2次創作。
いろいろ富野ガンダムを見て、本作に感じていた違和感が言語化できる気がしたのでここに書いておきます。
ガンダムUCそれ自体は非常に面白く作ったと思います。2次創作としては。やはり、私には正史には見えません。というのは、宇宙憲章があまりにも牧歌的で希望に満ち溢れているからです。もちろん、ニュータイプの出現を予想したような最後の1条です。
宇宙世紀で言えば、逆シャアが0093年が舞台でF91が0123年。この間の出来事になります。で、F91からVガンダムの流れで言えばほぼ地球政府のようなものは壊滅し、Gレコから判断するに、これからおそらく地球史的には文明が衰退して行く感じです。どこかに文明は保持されるようですが、地球の復活まで10000年(1000年?)以上の時が必要になるまで荒廃が始まるのがVガンの0153年です。つまり、あえて30年ごとにどんどん悪くなってゆく絶望的な状況を描いています。なのにニュータイプが作る未来があるようなUCの結末はいただけません。
加えてユニコーンガンダムがオカルト兵器になってしまったこと。最後の無双が良くなかったなあ…ニュータイプは結局戦争のために使えば不幸になるという流れがあったと思います。結果、ユニコーンが壊れるとかバナージが精神崩壊ならわかりますけど。
それともう1点。ミネバ様のザビ家の生き残りとしての結末が弱いかなと思います。この後NTとかいろいろあるかもしれませんが、現時点が結末だとすればミネバ様は幸せになってはいけない気がします。
逆シャアで感じたのは、ベルトーチカチルドレンは抜きにしても、赤ん坊の泣き声のシーンが最後の方のカットで入ります。そして、ミライが娘と砂漠にいる映像もありました。つまり、地球には未来を担う子供たちがいるのです。一方で、シャアはクエスの父になれなかった、ララアが母になってくれたかもしれないと、告白して宇宙の光になります。つまり、彼は子供のままいなくなります。シャアの間違いは次世代に思いを寄せなかったことです。
むしろ、ジオンの思想にニュータイプも含まれるとすれば、この時点でジオンによって起こした戦争に加担するニュータイプは消えなくてはならなかった。アクシズはジオンの発祥の地でありジオンの象徴です。このアクシズから始まったジオン公国の独立戦争でニュータイプは生まれました。だから、アムロ・シャア+ララアというニュータイプの象徴は地球を守ってアクシズとともに光になったんだと思います。地球からみた2つのアクシズのかけらはアムロとシャアの象徴です。
完全にその焼き直しがこのUCの最終話であることが、繰り返し感があり発展してなかったなという気がします。それに何よりもアムロとシャアが戦争をやった落とし前として地球の未来を救い消えたのに比べて、バナージとミネバ様はどうか。もちろん少年少女の年齢なので未来の側につくのもいいんですけど、それならビスト財団やジオンの血を引くものとして設定したことがおかしくなる気がします。2人の血の責任は宇宙世紀ものなら必要だったのでは?
必ず責任=死ではないですけど、何か強烈な違和感がありました。逆シャア、F91、Vガンと世代論として赤ん坊(子供・家族)を繰り返しテーマにしているんですよね。それを本作は完全に忘れてしまい解釈のしようでは世界系になってしまった気もします。まあ、家族と言えば家族なんですけど…なんかそっちの視点じゃないと言えばいいんでしょうか。ファーストは少年のまま終わりましたので牧歌的に終わりましたけど、その後は描かれているわけで。
そう、UCに繋がる宇宙世紀は明るい未来なんですよね。だから2次創作なのです。本来の宇宙世紀100年はターンAまでの暗黒の10000年(1000年?Gレコの時間とよくわかりません)の発端じゃなくてはいけないはずです。
重ねて言いますが、この作品のミネバ様は素晴らしかったし、話も面白いんですけど、やっぱり最後の結末に納得感はないなあという気がしました。