Witch さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
「インテリジェンス×競技ゴルフ」の見事な融合
【レビューNo.166】(初回登録:2025/1/19)
コミック原作で2024年作品。全12話
1期がよかったので、2期も楽しみにしていた作品ですね。
(ストーリー)
1期でプロゴルファーを目指して島を出る決心をしたとんぼ。
とんぼはイガイガの紹介で、熊本にある「武蔵塚ゴルフ練習場」のオーナーで
ある有働九五郎の家に下宿して、レッスンプロの長男・有働はじめのレッスン
を受けることになる。
そして初めての競技ゴルフ「九州女子選手権」に出場するのだった。
(評 価)
・「インテリジェンス×競技ゴルフ」の見事な融合
1期のレビューで
>インテリジェンスが高く、ゴルフの奥深さを提示しちゃんと面白い
と書きましたが、1期は割と
・通称「3鉄」(父の形見の3番アイアン)1本であらゆる球を打ち分け
→ 何故打ち分け可能なのかというテクニカルな部分を解説
が多かったのですが、2期では
・ゴルフとは18ホールをいかに少ない打数で上がるかのスポーツ
→ ではそのためにゴルファー達はどういう思考・方法で挑むのか
というのを論理的にみせてくれるんですよね。
とんぼのゴルフは
・よくも悪くも失敗を恐れない(失敗をリスクとして考えない)
・目の前の1打を”どうやって打ってやろうか”というワクワク感優先
という「スコアメイキングという概念がない」ゴルフなんですが、本作では
そこをライバルキャラを通じて面白く描いてくれています。
●エマ・クリス
飛距離を武器とした加点を狙う積極的な攻めゴルフ
●音羽ひのき
バランスに優れ、試合経験の豊富さに裏打ちされた強かさ
●安谷屋円
確率論に根ざしたグレートワンパターンでの緻密な組み立て
「その1打にどういった意図があるのか」ということをしっかり解説して、
「競技ゴルフとはどういうものか」というのを視聴者にわかりやすく提示
してくれるとともに、各プレイヤーの解像度の上げ、より各キャラを魅力
的に描写してくれていたと思います。
その辺の描写がしっかりしているから、対極に位置するとんぼの自由奔放
なゴルフもより際立つって感じですね。
そしてこんな感じで「1打1打の解説」を事細かに入れてきても、それがウ
ザく感じずに面白さに繋がっているのは素直に凄いなっと。
解説内容の適切さや演出や作画といったアニメとしての魅せ方など、原作
者や制作陣の技量の高さを感じますね。
・王道的な展開もしっかり押さえゴルフに対する愛情も感じられる
今作は「競技ゴルフメイン」ということで「優勝するのは誰か」といった
王道展開で物語が進んでいきます。
上述した1打1打の細やかさだけでなく「ゴルフには流れというものがある」
という勝負の大局観や駆け引きなんかもきちんと盛り込まれていたので、
そこはしっかり押さえているなっと。
そして今回の一番のテーマが
・とんぼが体験する初めての”プレッシャー”
であったりするわけで・・・・
それを体験することで今までとは違う「本物のゴルフ」というものを知る
ことができるわけですが、
{netabare}・「確実」というセオリーに逃げずに、”プレッシャー”がかかっている
ことを認めた上で全力で立ち向かう{/netabare}
その辺もとんぼらしい描き方がよかったと思います。
またメインはライバルたちとの優勝争いなんですが、初日に一緒に回った
主婦ゴルファー・島道子も印象深かったですね。
彼女は予選通過できるかどうかのゴルファーですが、皆優勝やプロを目指
しているわけではなく、それでもゴルフが好きでそれぞれの思いを掲げて
プレーをしていると、原作者のゴルフ愛を感じるエピソードでしたね。
上述の論理的な解説といい、原作者の描きたいものをしっかり描いている
という印象ですね。
「スポーツものはやはり真剣勝負してなんぼ!」
というのもありますが、プレイヤーの数を増やして
「ゴルフの面白さを(ウリのインテリジェンスで)より多角的に魅せる」
という広がりをみせたのはさすがでしたね。
そういう意味でも本作は1期以上に面白かったと思います。
他の要素もバランスよく描けていたと思いますし。
唯一難点を挙げるとすると、スコア表示が少なすぎる気がしました。
「バーディーだ!」と言われても、トータルスコアやライバル達との差とか
が分からない期間が長く、何かモヤモヤするんですよね。
もう少しスコア表示した方が、試合にも緊張感が出てより面白くなったので
は思います。
(まあこまめにスコア表示するのは展開を考えるのが面倒ってのがありそう
ですが(笑))
また1期ではすっと一緒にいたイガイガとの関係性の変化の描写も興味深かっ
たですね。
1期ではゴルフの師匠や友達という感覚でしたが、離れてみてとんぼの心情に
変化が現れたようで、イガイガに父親像を求めているかのような描写が印象に
残りました。
(追 記)
個人的に驚いたのは、とんぼの”自由奔放”なゴルフをコーチが矯正しようと
する展開(VS それに抗うとんぼみたいな)が真っ先に描かれるものだと思って
いましたが、それが全くなかった点ですね。
やはり普通のスポコンものとは違うんだなっと。
原作者の中で描きたいものは明確なんだなっと感じましたね。