薄雪草 さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:今観てる
フィナーレ不明(?)というユニークさ
我が国のアニメ文化のなんと広大で深遠、そして敬虔なことよ・・・。
いかに売れっ子作家の地位を得ようとも、先の巨人たちが遺したカルチャーはあまりに大きな壁。
アイディア、シナリオ、キャラデザ・・。
決めポーズ、決め台詞、決めラインアップ・・。
キャスティング、ミュージシャン、動画マン・・。
オマージュ、パロディ、本歌取りの線引きは、どこまでが許される?
人員不足、リテイク、試写遅れ、納期落ちは、どうしたって許されない!?
改変、改修、補修、全修は、だれが、どこまで、どうすればいいの!?
そんなナイーブでタフでストイックな業界で、自分の爪痕を残そうとするなら、いっそのこと「弁当がのどに詰まっても死んでも死にきれません!仮にそうでも描き続けます現世に戻ってでも!」が、作家の作家たる所以、誇り、悦びなのでしょうね。
でも、広瀬ナツ子は、全く描いてないんですよね。
本作(滅びゆく物語)を。
それなら "全修" ってどういうこと?
~
2話まで。
{netabare}
いきなりの人気作家の勢いとは裏腹に、描かねばならないものが描けないでいるナツ子。
それでも、ついつい巨○兵のアレを描いちゃったりとか、追い詰められた挙句にミサイルの軌道をアレに似せちゃったりとか・・・。
そんな "やらかし" も、作中異世界なんだから、やりたい放題、使いたい三昧。
大御所センセイやら有名プロデューサーやらも、ご存命ならそこまで追いかけての文句は、ないっちゃぁないです。
原作既読と未読の主人公たちがいよいよ詰みだせば、タップやら作画机やらが自動的に発動する条件のようです。
ありがちな展開といえばそのとおりなのですが、ここまで大手を振って見せられると、なんとも言えない奇妙なカタルシスを感じてしまいます。
実は、EDにそうそうたる先輩方のお名前があるらしいとの噂を聞きつけ、"全修" の意味合いが、とんでもなく面白くも恐ろしくて・・。
言うなら、3話以降、作劇やら作画やら、劇伴やら声優さんやらに、"どなたさま" がご降臨なさいますのか、わくわくしながら待たされるという、不思議な面白さです。
ナツ子の覆面黒髪は "黒子役としてのメタファー" なのかな?
描きまくる原動画は "カミサマのご再臨" なのかな?
今のところ、新作オリジナルながら、元ネタ過去ネタ全ぶっ込みという "全修"のスタンスで、楽しく視聴させていただこうかと思っています。
{/netabare}