Witch さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「低予算」でも勝負できるいい素材を仕入れて、制作陣が的確に調理したって感じ
【レビューNo.165】(初回登録:2025/1/12)
ラノベ原作(なろう発)で2024年作品。全13話。
個人的には「レビュー書くのどうしようか」と思っていたのですが、saitamaさん
のレビューに感化され、思うところを一気に書いてみようかと。
(ストーリー)
時は今、かつてなき「トレジャーハンター黄金時代」。
帝都ゼブルディアで煌めく数多の才能の中に一際異彩を放つ男がいた――
その名はクライ・アンドリヒ。
主人公クライは幼馴染たちと最強のトレジャーハンターを目指すことを誓い合う。
仲間たちが次々と才能を開花させていく中、クライは才能に恵まれず、やる気を
失い引退を表明する。
しかし仲間たちから「役割がないならリーダーやれ」とパーティー「嘆きの亡霊」
のリーダーに任命されてしまう。
そして「嘆きの亡霊」は、仲間たちの活躍で帝都でも最強のパーティーとなり、
気付けばリーダー・クランも「千変万化」の二つ名を持つ最強のクランマスター
として祭り上げられていたのだった。
(評 価)
・これは令和版「『スーダラ社員』こと植木等」
植木等は昭和の喜劇俳優ですが、個人的には
・かつてなき「トレジャーハンター黄金時代」
→ 1960年代の高度経済成長の中で「モーレツ社員」が溢れていた時代
・そんな彼らを尻目にハッタリでスイスイ世渡りしていく(植木等演じる)
「スーダラ社員」や「無責任男」にクライを重ねる
そんな感じの作品ですかね。
(一応言っておくと、私はその時代の生き証人ではないですよ(笑))
「勘違い・すれ違い系コメディ」的なところから『オバロ』や『陰実』の
ような作品と評されることも多いですが、いうても主人公「アインズ様」
や「シャドー様」は作中でも最強クラスの実力者ですからねえ。
一方のクライは
・「ワイも無敗やぞ!」→まあ今までまともに戦ったことないけどw
(宝具頼りで誤魔化しは利くが)
・唯一の特技が「土下座」というプライドのなさ
そして口癖も{ゲロ吐きそう」w
・面倒ごとはすぐに他人任せでやる気なしの他力本願
・宝具集めが趣味でそのため仲間のシトリーに多額の借金中
となかなかにクズな描写が多いですね。
でもそんなクライを「愛すべきコメディリリーフ」として愛情を持って描い
ているから、意外と不快にならず楽しく視聴できるんですよね。
(後述しますが)上述2作品よりもかなりコメディ主体に振った作品という
印象ですね。
・素材選びの勝利!?「低予算なろう」ながら上手く調理している
いわゆる「低予算なろう」になりますが、この手の作品の失敗の典型例は
・チート能力などで「俺tueee」を見せつけるぞ!
→ となるとバトルシーンが主体となるよね
でも「低予算」で「魅力あるバトルシーンの作画」ってかなり難易度
高いよね
→ 結果中途半端
・ついでにコメディも加えちゃえ!
→ 練られてないので中途半端
・ハーレム要素で主人公モテモテにしちゃうぞ!
→ テンプレのご都合主義にうんざり
って感じのパターンですね。
その点本作だと
・コメディ主体でいくぞ!
→ これなら「低予算の泣き所:作画」にあまり負担をかけずに、演出や
センス等工夫で勝負ができる余地が大きくなる
・バトルシーンも描くぞ!
→ でもコメディという基本軸はズラさないぞ
・クライ「聞いてないよ~」
・ティノ「これはますたぁが与えた私への試練!」
→ バランスを上手く取れば面白い魅せ方が可能
・ハーレム要素も描くぞ!
→ (後述するが)ヒロインに役割を与え上手く活用すればさらに面白く
描くことが可能
感覚的には「低予算」でも勝負できるいい素材を仕入れて、制作陣が的確に
調理して仕上げたって感じですかね。
まあOPや次回予告から「遊び心」を感じる”ご機嫌仕様”ですからねえ。
上述の「クライのキャラ描写」といい、制作陣はノリノリで作品愛もかなり
深かったんじゃないですかねえ。
・ヒロインたちも物語上の役割をしっかり担ってた
ヒロインたちもただのハーレム要員というだけでなく、上手く活用して機能
させてたという印象ですね。
・ティノ
{netabare}「ますたぁに甘えたい」というヒロイン性を描きつつも「ますたぁは神」
という盲目的なクライの信奉者
→ 「勘違い・すれ違い系コメディ」の先導役として機能{/netabare}
・シトリー
{netabare}クライを甘やかす”ダメ男製造機”という表の顔とは裏腹のマッドサイエ
ンティスト気質で策士の黒幕的な一面も
→ 本作に不足美味の「ダークな毒気成分」補充要員として機能{/netabare}
・リィズ
{netabare}戦闘能力が高く頼りになるが、脳筋の直情型で行動が制御しずらい
またシトリーの姉であり、ティノの師匠でもある
→ クライでも”取り扱い注意”のトラブルメーカー+ヒロインズ間の
相乗効果の起点として機能{/netabare}
三者三様にキャラ立ちしてたと思います。
視聴時はそこまで深く考えていたわけではないですが、saitamaさんのレビュー
に感化され、再整理してみると意外に奥が深い作品だったかも(笑)
刺激をアザ━━━(*゚∀゚*)ゞ━━━ス!!
最終話もまさかの{netabare}オークション{/netabare}展開で、そこでしっかり見せ場もつくるという
終わり方も本作らしくよかったと思います。
ただ2期決定らしいですが、これはどうなんですかね。
この手のなろうだと
「最強目指して成り上がる!俺たちの戦いはこれからだ!!」
とかが多いですが、始めから成り上がちゃってますからねえw
物語の方向性としてどこを目指すのでしょうか?
「この制作陣が次は何をみせてくれるのか」
という期待半分、
「『1期で終わっておけばよかったのに』とならないか」
不安半分って感じですかね。
ED『すくりぃむ!/P丸様』
耳に残る中毒性のある楽曲とティノのかわいいお尻みせのED映像にしっかり
ハマってましたねえw
(『すくりぃむ』といえば、『氷菓』の「I scream」が頭に浮かび、
「曲中でやたら叫んでたのはそういう意味か!」
と納得したのは私だけ!?)