「機動戦士Zガンダム 星の鼓動は愛(アニメ映画)」

総合得点
60.8
感想・評価
118
棚に入れた
762
ランキング
5768
★★★★☆ 3.5 (118)
物語
3.5
作画
3.4
声優
3.6
音楽
3.5
キャラ
3.6

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nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

女性論、地球回帰と過去への憧憬。ガンダムとニュータイプ否定。

 レコア=ロンドに注目して、この劇場版を見てきました。やはり、最後のカミーユとシロッコとの対決で分かる通り、女が一つの大きなテーマになっています。レコアは男に利用されてきたあるいは人生を振り回された恨みを強く感じます。

 それ故に、いや、それなのに、自分を理解してくれていると思ったシロッコをシャアと比べて選択した。その事がそのままレコアもまた、男を道具として見ていたのか、むしろ父親代わりの依存の対象と見ていたのか。とにかくエマの主体的な生き方と比べてファの一途な生き方と比べて、カッコイイところもありますが、最後はみじめでした。

 そう、カツとサラのわけのわからない結末も、幼い気持ちではありますが、男女の関係性と理屈が無い衝動とか、男女にかかってくるのでしょうか。

 この作品で最後、シロッコはカミーユだけでなく女性達に負けました。2006年の作品ですよね。富野氏はブレンパワードもありましたけど、やはり、Vガン、ターンA、キングゲイナー、Gレコを見ていると、母性に対して強い憧憬がある気がします。

 で、Gのレコンギスタを見て気が付いたのが、ガンダム否定、ニュータイプ否定、そして宇宙に棲むのではなく、地球に帰る事に対する想いが非常に強く感じられます。ダカールの日は地球の環境を壊す人間を排除して宇宙移民というシャアの思想でしたが、それをカットしました。まあ、もともと逆シャアで彼は敗れるので、シャアの思想は上手くいかないという表現はしていましたが、一方で人類は地球から離れるべきという思想は富野氏は持っていた気がします。

 ただ、Vガンダムでカサレリアに帰ります。キングゲイナーのエグソダスは日本への旅、ターンAはムーンレイスの地球帰還、Gのレコンギスタも同様です。つまり、強く地球回帰を願います。その気持ちがカミーユのセリフとして劇場版に至って表現されていました。

 TVシリーズのカミーユはメチャクチャでした。怒りというか矛盾というか、何か破壊衝動のような感じすらしました。彼は何者でもない、ガンダムのヒーローという象徴でしかなかった感じです。だから、最後は破滅させるしかなかった。ただ、劇場版に至ってカミーユは変化しました。

 男女の描写も加えると、ファとカミーユは一緒に地球に行って、子供でも作っていろという表現だった気がします。フラウボウが最後意味深に登場しますが、あの意味は難しいですよね。フラウボウって、ファーストガンダムのときから母であり妻のような感じでした。何か意味があると思うのですが、今は言語化できていません。

 そう、富野氏の主張はVガンのとき以降、一つは地球回帰と文明否定、一つは男女がお互いを必要としているという思想が明確になりました。ブレンパワードは母性、キングゲイナーが男の対になる話でした。ターンAは望郷と文明否定の話でした。このZはニュータイプ否定も含め、それらが一つの形になっていました。

 Zガンダムをファーストガンダム信者が否定したくなる意味が最近よく理解できるようになりました。戦争としてのリアリティが無くなったとか対象年齢層の低下はあるでしょう。脚本の出来も良くはありません。

 でも、本質的にはファーストガンダムでのメッセージが時代遅れでもう否定されなければならないし、富野氏から見れば彼のガンダムより後の作品はガンダム否定とニュータイプ否定のための仕事になっているからでしょう。

 ファーストガンダムは戦争と兵器の描写がすごい、ロボットの設定がすごいといって見ることは時代遅れだ間違っている、と制作者から言われているのだから、そりゃあ面白くないですよね。

投稿 : 2025/01/10
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サンキュー:

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