中島野球しようぜ さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
良くも悪くもクレしんらしさに比重が置かれたクレしん再興期の魁、良作ではあるが気になる点も多々おすすめ度★★★☆☆
やっぱり…美味いじゃないかっ…!
クレヨンしんちゃん映画再興時代の代表作であり、ムトウユージ監督期以降の暗黒期に終止符を打ち、16年のユメミーワールドまでのゴールデンラッシュを打ち立てた転換点。
脚本はギャグアニメ脚本の重鎮浦沢義雄さんなので、わりかしコミカルめな内容。所々癖のあるグルメッポーイの部下、ヴィランでありつつもどこか共感のできるグルメッポーイ、B級グルメとA級グルメの相反する姿勢、構図としては単純明快で、ユーモラスなキャラの多さや身近であるが故に没入感の高い食という題材を絡めており、グルメ作品としての視点に重きを置いてますよというのが見て取れる。
前半のギャグパートはいい所悪い所半々、園児達がB級グルメフェアに行くために…というくだりでなんやかんやあって山に遭難する内容についてだが、言い争いや見苦しい言い訳の連続が多く見てて不快になった、解散宣言も結局宣伝以上の効果はなく、結局グルメッポーイの所から逃げ出す時に有耶無耶になってるし。仲間割れのさせ方もぶっちゃけ強引がすぎたかな。
グルメッポーイに関しても純然たる悪ではなく、毒親の教育や焼きそばを食べたいと思いながらも親にダメ出しされ食べ損ね、以来B級グルメに逆恨みしてしまっても、心の底ではB級グルメへの憧れを捨てきれなかったというキャラ付けは中々良く、最後は焼きそばを1口食べて大粒の涙を流し、和解するシーンはとても心に染みた。最後はソースの健さんに弟子入りしたんだけど、あそこら辺での和解も描かれて欲しかったな。
ただ、終盤のかすかべ防衛隊の歌唱シーンは微妙で謎の共感性羞恥を覚えた。クレしんのミュージカルはこれに限らず何故か盛り上がらないことが多いが、なんで一生懸命料理を作るんじゃなくて曲に合わせてノリノリで作らせるのか、そこら辺がテンションのズレなのかなぁ。
料理の作画や色んな料理が紹介されるシーンは、自分も実際に食べてみたくなった。もつカレーって今もあるんかね?
正直橋本監督は自分のしょうもない思想を映画に絡めるんじゃなくてB級グルメみたいな単純明快な作風で売り出した方がまともな作品できるんじゃないの?シリリや新婚旅行ハリケーン、もののけ忍者の酷さを見れば余計そう思う。