Witch さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
『着せ恋』と比較されがちだが、少年誌らしい切り口で差別化は図られていた
【レビューNo.159】(初回登録:2024/12/22)
コミック原作で2024年作品。全24話。
(ストーリー)
ある高校の、たった一人しか部員がいない漫画研究(漫研)部部長・奥村正宗
は、昔母に捨てられたことがトラウマになっており、3次元女子が好きになれず、
2次元キャラへ愛情を向けるようになっていた。
そんな彼ののもとに、新入生の天乃リリサが入部してくる。
共に漫画のキャラクター「リリエル」が好きな二人は意気投合し、リリサの趣
味であるコスプレ撮影を始める。
また奥村の幼馴染で現役人気モデルの橘美花莉が登場、彼女は奥村にずっと好
意を抱いていた。
そして「コスプレ=奥村攻略の近道」と考えた美花莉もコスプレに関わるよう
になっていく。
(評 価)
視聴前に抱いた率直な感想は
「コスプレ分野には『着せ恋』という強敵がいるのに大丈夫なんか!?」
という心配ですね。
正直「コスプレという世界の奥深さや面白さ」という点に関しては、『着せ恋』
には及ばないかなという印象ですが、本作は本作で少年誌らしい切り口で差別
化は図られており、違った面白さがあるのかなっと感じました。
・王道的なバトル展開や仲間との熱い友情のドラマ
「いかにも少年誌連載(少年ジャンプ+)らしい」
と感じたのは、リリサ自体は
「好きなコスプレをやれるだけで幸せ」
という無欲なキャラなのですが、周りの状況は
{netabare}・「コスプレ四天王!」
→ 一人欠員が出た、NEXT四天王は誰なのか!!
(また「次に来る5人の新星レイヤー」のランキングとか)
・イベントの写真撮影会、囲みの輪が大きいのはどっちだ!!
・「拙者はこのコスプレイヤーに惚れこんだ!2人で頂点を目指すでござる!!」
なんやかんやとバトル展開的な要素が盛り込まれているんですよね。
リリサにその気がなくても、彼女の注目度が上がっていけば自然とその渦中
の人物となっていきますし、彼女を推している奥村にも
「リリサの『リリエル』にもっと多くの人が注目して欲しい!」
という望みも生まれてきますし。
こういう視点がいかにも少年誌っぽいなっと。{/netabare}
また後半クールから活動仲間が2名増えますが、
{netabare}・コミュ障であったためすれ違いを繰り返すも、最後には勇気を出して分か
り合えたNONOAの物語であったり
・父親を捜すためにコスプレを始めたアリアに皆が協力する展開だったり
こういうところにも少年誌らしい友情の熱さを感じるんですよね。
またアリアの物語には実は奥村の過去も関係していて、こういうもう一段掘
り下げたところに原作者のセンスを感じましたし。{/netabare}
「コスプレ」というニッチな分野を扱いながらも、少年誌読者層ウケしそう
な要素を上手く取り入れているなという印象ですね。
・ラブコメ要素は意外と適切だった!?
2話でいきなり「奥村先輩ラブ♡」の美花莉が投入されますので、
「早くも(ご都合主義的な)三角関係ラブコメ勃発か!?}
と、やはり安っぽい作品なのかなって否定的にみてたんですよね。
序盤は結構ラッキースケベ的な展開も放り込んできますし。
しかし3話で2人のコス併せをすると、以降は
{netabare}・リリサの初イベントだ!
・奥村のカメラマンレベルアップだ!
・「漫研」の存続ピンチだ!
結構コスプレ活動が忙しく、ラブコメ度はかなり薄くなります。
それに後半は上述の通り、新キャラとの友情物語がメインになりますし。
そういう意味ではちょっと意外な構成でしたね。
ラブコメとして大きく動き出すのは、終盤
・アリアの物語で自分のために奔走してくれた奥村にフォーリンラブ♡
・最終話でドカーン
って感じですね。{/netabare}
この最終話がかなり秀逸で、ヒロイン側の心情だけでなく、奥村の心も動か
してきます。
{netabare}奥村は上述の通り、過去のトラウマで3次元女子を拒絶していたのですが、
そんな奥村に顧問の羽生がアドバイスを送ります。
「お前に関わろうとする人間を恐れるな。」
「心はたった一人の中に生まれない。自分以外の誰かがいて初めて生まれるんだ。」
等、ある意味原作者の哲学を代弁しているような感じがあり、結構心に響く
んですよね。
この会話劇で作品が一気に引き締まって終わるという感じですね。{/netabare}
まあ根本的な話として
{netabare}・(紆余曲折があったにしろ)高校の部活としてコスプレが許容されているの
はどうなんだ!?
・しかも顧問は実は伝説のコスプレイヤーだった!!{/netabare}
とツッコミどころもありますが、この辺も前半パートのエピソードとして一応
丁寧に描かれていますし、後半はキャラを増やして世界を広げて上手く展開し
てきたなと思います。
最終話もしっかり作品を引き締めつつ、ラブコメも進めて今後に期待を持たせ
る形で終わりますし。
ぶっちゃけ
「『着せ恋』との格の違いを晒して惨敗するやろ」
という事態も想定していましたが、「王道の少年漫画展開」で予想以上に健闘
してたかなという印象ですね。
やはり連続2クールで、後半ギアが上がってくる展開まで一気に観せてくれた
ことが大きいですね。
順当に2期も決定ということで。
ただ作画は『着せ恋』のクローバーワークスがハイレベルだっただけに、どう
しても見劣りしてしまいますね。
まあ比較なしでもヒロイン達はもう少し頑張って欲しかったというのはあるん
ですが。