ひっく さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
犬屋敷という人
何の取り柄もなく、家庭からも社会からも疎まれ、生きる意味も見出せずにいた老人・犬屋敷が、偶然宇宙人の事故に遭遇したことで機械の身体を手に入れ、その力で人知れず多くの人々を救っていく話。
同じ力を手に入れた高校生・獅子神がそれを用いて悪虐非道な殺戮を繰り返していくのを対照的に見せることで、犬屋敷の「こんな僕でも世の中の役に立てるかもしれない」「こんな僕でも誰かを笑顔にできるかもしれない」という、人生の諦めの先に差した搾りかすの希望のような、細やかで、だからこそとてつもなく純粋な気持ちの尊さが際立っていく。そして、相対すらこの両者がいつ対峙し、戦うことになるのかという期待が高まっていく構造がすごく熱い。
{netabare} 原作・アニメともに話の畳み方が丸すぎるというか、素直なヒーロー譚に帰着したことで若干のしぼみを感じてしまったけれど、{/netabare} 全編を通して安定して面白かったので個人的にはかなりオススメ度が高い。
中盤、{netabare}不特定多数を以って誹謗中傷するネット民たちが{/netabare} 次々と殺されるシーンなどからは作者の怒りや強いメッセージ性を感じる。自分なら莫大な力を手に入れた時に何に使うのか、そんな思考実験をさせられる作品。