Witch さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
原作のよさをしっかりエンタメ色の強い楽しい映画作品に昇華できていた
【レビューNo.155】(初回登録:2024/11/27)
コミック原作のアニメ映画で2023年作品。70分程度。
公開時にお付き合いあるレビュアーさんたちがレビューを書かれていたので、
面白そうかもと気になっていたんですよね。
その後図書館にコミックが置いてあったので、読んでみたらなかなかよかった
ので、そのうちアニメも観なきゃということでようやくですね。
(ストーリー)
訪れる客は全て動物という不思議な百貨店・北極百貨店を舞台に、主人公であ
る新人コンシェルジュ・秋乃が、ひと癖もふた癖もある客からの難題に向き合
い、彼らの悩みに寄り添いながら、解決のために奔走するファンタジー作品。
(wikiより)
(評 価)
・起承転結がきれいに描かれていて視聴しやすい
本作は
「”接客”は人間、”お客さま”は動物」
(しかも「V・I・A」という絶滅種動物がメイン)
という不思議な世界ではありますが、実はここには
{netabare}「人間の欲望により絶滅させられた絶滅種の動物たちを、大量消費の人間の
欲望の象徴である百貨店で人間がもてなす(贖罪的な?!)」{/netabare}
といった重いテーマが込められています。
そんな苦み成分も含みつつ、全体的にはエンタメ色が強い楽しく視聴できる
テイストに仕上げているという印象ですね。
新人コンシェルジュ・秋乃の物語として
・起
ドジな失敗をしながらも初めての成功でコンシェルジュとしての第1歩を
踏み出すと
・承
お客さまの難題に真摯に向き合い、時にはチームも巻き込みながら最高の
形でお客さまの期待に応え、中盤を盛り上げるが
・転
モンスタークレーマーによるしくじりや上述テーマをぶち込み作品に変化
や深みを与えつつ
・結
これまでの集大成・コンシェルジュとしての成長をエンタメ感あふれる
演出でしっかり盛り上げて大団円で締めくくるという
流れがホント奇麗でドキドキやワクワク、ハラハラそしてハートウォーミン
グといったバランスも素晴らしく、巧みに感情を動かしてくる印象ですね。
またこの流れを百貨店の季節毎のディスプレイに合わせ、彩りよくみせる演
出も効果的だったと思います。
・キャラやアニメーションも秀逸
主人公・秋乃のひたむきな姿もさることながら、上司や同僚そしてお客さま
たちも短い尺の中で端的に個性が描かれていて、皆愛着が持てるキャラ描写
だったと思います。
そして主演の川井田夏海さんや彫刻家・ケナガマンモスの津田健次郎さんは
いい味出していたと思いますし。
またアニメーションとしても
・上品な時間が流れる百貨店の描写とは裏腹に秋乃の奮闘ぶりはディズニー
作品的な雰囲気があり、コミカルでキレがあり対比が◎
・各動物の特徴を取り入れたお客さまの動きも効果的
・百貨店の作画も緻密さの中にもどこか絵本めいたファンタジー感もあり、
この世界観にマッチしていた
レベルの高い出来映えだったと思います。
最後に上述秋乃の物語から
{netabare}・「人間からの動物への贖罪」という従来の百貨店のコンセプト
→ 彼女が指し示す「両者の共生」という新しい百貨店の形{/netabare}
としっかりテーマに回帰していた点も見事だったと思います。
原作のよさを残しつつも
「アニメ映画としていかに視聴者に楽しんでもらうか」
ということが熟考されていた満足度の高い作品でしたね。
(プロフィールの通り)時間の長い映画作品は苦手なんですが、そんなことも
気にならない程に没入できたオススメの作品ですね。
劇中歌『北極百貨店のテーマソング』
・「なーんでもそろう~北極百貨店~♪」→耳に残るメロディは必聴w
主題歌『Gift/Myuk』
・この作品を締めくくるに相応しい優しさが心地いい良曲