たナか さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
No pain, no gain
人気作家の短編映画化、配給の都合で58分に水増し。
Cパートナシの余韻はよかったが、クレジットのドヤ感は少々いただけない。
わかりやすい!!
自伝的でありながらもバズり小ネタも欠かさない計算高さや抜け目のなさとかあまりにも肌触りの良すぎるあざとさなんかが鼻についたらもうおっさんということで。短い短編をモリモリに盛った短編映画なので中弛みなしで実に見やすい。楽しいだけの作品ではないが古のオタクのような逆張りマンでもなければ何かしら感じるものはあるでしょうか。
可処分時間の奪い合いが激しい現在、楽しいだけの存在が許されない令和。何かしらの実用的な気づきや学びがわかりやすーく提示されないとコスパガー!タイパガー!なんて言われる時代ゆえに、アニメですらも自己啓発的な使える名言やら業界の専門知識解説やら「切ない…ッ泣ける…ッ」的なセルフケア機能が求められてしまう現環境においても「さぁさぁ!ここをスクショしてください!」なんて安易な名言ドンッをやらないだけで今となっては逆に新鮮に映るのかも。意図的にそれを狙って配置して計算どおりにちゃんと売れた映像研もそれはそれですごいけれども。
作者の体験談らしい「漫画描いてるやつキモい」なんてのも今となってはリアリティがないのではとは思う。確かに昔はジャンプ読んでただけで「中学生にもなってジャンプwwwきっしょwww」でした。今では中学生でもイラストやコスプレや二次創作を公言できるとかすごいですよね。あんなんバレたら完全に人権剥奪ものでした。いい時代になりました。
犯人サイドの描写には賛否あるが、あそこを本格的にやったらエンタメにはなり得ないのでいい塩梅。拗らせすぎた他者を寄せて映すと「共感デキナイー」とか不快ダーマンにはツラい作品になってしまう。今は読者に優しく寄り添って心地い肌触りで全部わかるようにしないといけない。決して万人ウケしなかったであろうファイアパンチの尖り具合も楽しかったが、アレ描いた作者をここまで育てたジャンプの編集は実に優れたビジネスセンスをお持ちだと思う。
なみいるジャンプ作家に並ぶレベルで「正解」となってしまったタツキ先生は多くの信者を獲得したが、彼らが他者に向けてツルハシを振り下ろさないことを願うばかり。「キャラの魅力ガー」「感情移入デキナイー」なんて難癖も安易に他人を刺してしまえる凶器となる。大量に湧いた鬼滅キッズみたいな拗らせマンをみて「人の振り見て〜」ができなければ、あのときの犯人を見て「おまえはいったい京アニ作品の何を見てたん?」みたいなのと似たようなものではないか。あ、シノギクソなろうは叩いていいです。あれは作品ではなくオクスリなので。売れればよかろうなのだ的な資本主義の闇ですね。
過去は変えられるってのはマジでそう。
オエイシスも復活したし作者はもってるなあ。
アニメ版でも解釈の幅や深さはちゃん残されてる。泣けるッだけではもったいない。