Witch さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
YOUTUBE「実は面白いマイナーアニメ」 →なるほど、言い得て妙かも
【レビューNo.151】(初回登録:2024/11/4)
ラノベ原作で2017年作品。全13話。
YOUTUBEで「実は面白いマイナーアニメ」と紹介されていたのと、お付き合い
ある青龍さんが同じようなタイミングでレビューを書かれていたので非常に
気になっていたんですよね。
まあそこから半年位放置してたんですが(笑)
(ストーリー)
火・水・風・光の四大精霊が実体として存在し、人間のパートナーとして共に
生きる世界――
カトヴァーナ帝国は国力が衰え、政治は腐敗して国としての寿命が尽きかけよ
うとしており、内政の失敗を戦争で購おうとしていた。
そして帝国一の科学者アナライの弟子少年イクタ・ソロークは、優れた才を持
ちながらも昼寝と女漁りに精を出し、日々怠惰に過ごしていた。
イクタは軍部の名門出身の昔馴染みの少女ヤトリシノと、高等士官試験に臨む
道中船が嵐によって沈没し、ヤトリや同じ受験生たち
・狙撃が得意な好青年トルウェイ
・上昇志向が強く小太りの突撃兵マシュー
・失言の多い衛生兵ハローマ、
・まだ幼き帝国第三皇女シャミーユ
と共に、帝国と戦争状態にある隣国のキオカ共和国の領土に流れ着いてしまう。
イクタの機知により帝国に無事帰還した彼らは「帝国騎士」の称号とともに、
士官学校に入学することになる。
(評 価)
・2人の関係性や他のキャラもしっかり描かれている
本作は
・戦争嫌いの怠け者だがずば抜けた戦略・戦術眼をもつイクタ
・武芸に秀で比類なき実力を誇るヤトリ
この2人の波乱に満ちた運命を描いたファンタジー戦記作品となります。
平時は軽口を叩き合いながらも、一度戦場に出てばお互いの才を信頼し
背中を預け合える、そんな2人の絶対的な関係性が実に尊い。
イクタは女好きですが、そこには恋愛感情はないものの
「イクタにとってヤトリは大事な人」
という様が、彼の言動から伺えますね。
それを象徴しているのが、物語の最初に語られるイクタのセリフ
{netabare}「(中略~)何故僕がここにいるのか――
君をさらいに来たんだヤトリ、未来のないこの国から。」{/netabare}
なんとも意味深な言葉ですね。
そしてこの2人の脇を固めるのがトルウェイ、マシュー、ハローマの
士官学校の仲間達です。
2人の天才に比べ、彼らがしばし凡人として悩む描写がみられますが、
イクタはそんな彼らのウィークポイントは実は長所だと考えており、
時にはムチャ振り(?)をすることも。
そんな中で苦難を乗り越えていく、彼らの成長譚も見どころの一つに
なっています。
また戦記モノなので、交流を経て魅力的に描かれた軍人たちとの死別
も避けては通れないわけで、本作でも
{netabare}「自らの指揮による輝かしい勝利と自らの選択による苦々しい結末」{/netabare}
といった言葉でその無情さが語られています。
・ーこれは”約束された敗北”へと向かう戦いの物語ー
上述はPVの冒頭に現れる言葉ですが、本作では
・北域動乱の鎮圧終結のタイミングを見計らって敵国兵が進軍
・消耗しきった帝国軍にはそれを正面から迎え撃つ戦力はなく
・撤退戦が最善の策
ということで、イクタたちが殿を務め帝国軍の命運を握ることになり
ます。
まあ早い話が「約束された敗北」の尻ぬぐいってことでw
しかも敵軍はイクタに比肩する『不眠(ねむらず)の輝将』の異名を
もつジャン・アルキネクスが指揮を執るという。
物語最大の山場となりますが、2人の知略戦は非常に見応えがあります。
そして圧倒的不利な状況でイクタが放った勝負手とは――
幾分ご都合主義かなというところではありますが、善意的に解釈すれば
「天才は天才を知る」
ということなんでしょう。
しかし物語はこれで終わらない。
帰還したイクタに第三皇女シャミーユが語る衝撃の計画とは?
ーこれは”約束された敗北”へと向かう戦いの物語ー
「なるほど!最後はそうきたか!!」
という余韻を残して物語が終わるという。
1クール作品ながらも、「何のための戦いか」から始まり戦争や軍人という
ものをかなり地道かつ実直に扱っているという印象ですね。
また平時のイクタの軽口は滑り気味ではありますが、戦場での彼の言葉選
びのセンスには目を見張るものがあります。
これは他の軍人の言葉にもハッとさせられるものがあり、この辺が原作者
の真骨頂なのかなっと感じますね。
ただ難点をいうと導入の5話位まではテンポが悪く展開もぬるいので、上述
「実は面白い”マイナー”アニメ」
で留まっている原因かなっと。
あと「精霊」という要素も(原作では上手く活用されているかもですが)
本作では面白さに繋がっていないという印象ですね。
(そもそもの『ねじ巻き精霊戦記』が「??」って感じなんですよね)
とはいえ高いレベルでまとまったファンタジー戦記作品であったので、
視聴してよかったと思います。
2期があったら是非観てみたいと思いますし。
(望み薄でしょうが)
最後に背中を押して頂いた青龍さんには感謝ですね。
アザ━━━(*゚∀゚*)ゞ━━━ス!!
OP『天鏡のアルデラミン/岸田教団&THE明星ロケッツ』
・『GATE』を彷彿させるような出だしから「岸田教団」感がビシバシと。