STONE さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
とりあえず簡単な感想
「BanG Dream! It's MyGO!!!!!」(以後MyGOと表記)のレビューに、「テレビ放映時は
バンドリ系を敬遠していたのでスルーしたが、後で評判を聞いて視聴した」みたいなことを
書いたが、本作も同じく。
本作はバンドリ系作品ではないが、主要キャストは素人声優が務めるガールズバンドものと
いうことで、似たようなものを感じてテレビ放映時はパス。
後に評判を聞いて視聴してみたら、めちゃくちゃ良かった点もMyGOと同じく。
MyGOと同じくシリアス要素の強い作品であるが、MyGOのシリアス要素の多くが
「CRYCHIC」も含むバンド内のやり取りにより生じたものに対して、本作のシリアス要素の
多くはメンバー個々のパーソナル部分に起因していることが多く、バンドもしくはロックや
音楽はそれぞれが前に進むために必要としているようなものに思える。
ストーリーは熊本から上京した少女 井芹 仁菜がバンド「トゲナシトゲアリ」(以後
トゲトゲと表記)を結成して、プロを目指す王道なもの。
フェスでのライヴの成功、そして事務所と契約してのプロ入りと順調なサクセスストーリーを
歩むかと思いきや、出した曲は売れず、ダイヤモンドダストとの対バンライブは惨敗、そして
事務所も辞めることに。
熱さを感じさせるライブを経ての、この結果は「そううまくいくものではない」という
ある種のリアリティを感じさせる。
結果だけ見るとハッピーエンドとは言えないが、印象としてはむしろさわやかな感の終わり方。
これはトゲトゲのメンバー自らの退所であることと、彼女たちが今でも前を向いていることに
ありそう。
これからはフリーとしてやっていくことになるのだろうが、ED映像にあるような地方を
回っていきながら、再び上を目指すエピソードを観てみたいところ。
最終話で仁菜が「ずっと皆で一緒にやっていこう」と提案する紅生姜の誓いだが、MyGOの
「一生バンドやる」に通じるものがあるような。
キャラはやはり主役の仁菜の印象が強く、その真っ直ぐすぎる暴走気味の行動が比較的
シンプルなプロットを面白いものにしている感がある。
こういう言い方、今時だと気恥ずかしいかもだけど、生き方自体がロックという感じ。
ただ実際に身近にいたら、迷惑な感もあるけどw。
仁菜役を勤めた理名。歌にしろ、芝居にしろ、「上手い!」と思わせるタイプではないが、
いずれも印象に残る。
今後は音楽中心の活動になるのかもしれないが、声優もこれで終わってしまうのはちょっと
もったいない感じ。
以前、「最近雇ったメイドが怪しい」のレビューで、「ヒロインの容姿に関して褐色で
ショートからセミロングぐらいのキャラが大好き」と書いたが、それは今も変わらず。
そういう点でルパというキャラに出会えたことは個人的大収穫。
おっとりした物腰の柔らかな雰囲気とは裏腹にアグレッシヴな性格というギャップもいい。
喧嘩好きを公言しているルパだが、単に好戦的なわけではなく、人との繋がりを重要視
しているところから、とことんやり合うことで分かり合えることを好んでいるように思える。
この繋がりを大切にする姿勢は肉親を亡くしたことも理由の一つでありそう。
そして、繋がりの大切さは他のメンバーにも言えそう。
ライバル的存在のダイヤモンドダストもそれほど掘り下げ描写があるわけではないが、随所に
思いが感じ取られる部分があり、単なる敵役で終わっていないところが良い。
ライヴシーンがCG作画、カメラワークのいずれも良く、トゲトゲのステージ衣装も楽しい。
ステージ衣装に関してはダイヤモンドダストやバンドリ系バンドのように統一感のあるものも
バンドカラーが明確になるためにそれはそれでありなのだが、個人的には各自ばらばらで
メンバーそれぞれの個性が出る方が好き。
「ぼっち・ざ・ろっく!」の結束バンドも同様だが、割と普段着の近いものであるのに対して、
こちらは結構派手目。
2024/11/03