767AK さんの感想・評価
2.6
物語 : 1.0
作画 : 3.0
声優 : 4.5
音楽 : 2.5
キャラ : 2.0
状態:今観てる
まずは結果は出さないとでは?(7話視聴 11/18更新)
うーん、これはかなり厳しい…。はっきり言って低レベルな作品です。
タイトルが「株式会社〜」とあるくらいなので、コンセプトは「魔法少女が会社員」。
つまるところ、魔法少女という虚構を、会社員ないし職業という現実的要素に当てはめることで起きる物語が紡がれる作品とみてよいと思います。それ自体は、ミスマッチをどううまく組み合わせるか…ということに興味を惹かれ、面白そうだと思いました。が、結論から言うと、まったく上手く組み合わせられておらず、失望しました。
まず、この作品における魔法少女ですが、教育課程を終え就職した成人女性です。資格や免許、特殊な訓練は必要ないようです。主人公は大卒女子です。つまり、他の魔法少女モノにあるような“少女”ではありません。それなら何も魔法少女ではなくて、魔法使いでいいのでは…と思いますが、少なくとも4話時点では特に説明はありません(なお、1話で就職活動をしていたので在学中と思われますが、2話でいきなり就職して、実務につきます。時間経過は不明)。
そして魔法ですが、女性にしか使えない設定(年齢制限があるかどうかは不明)になっています。こちらも特に説明がありませんが、原作において、男性は魔力が強すぎて肉体が保たないことが後になってわかるそうです。なぜ、普段は問題ないのに使うとそのようになるのか?魔法っていわば魔力の制御そのものなのでは?
追記:これは推測なのですが、あらかじめ企画段階(原作は漫画だからネーム?)でまず魔法使いではなく、どうであれ「魔法少女」という名称を使うことだけが先に決まっていたのではないでしょうか?そして、なにか不都合があれば辻褄を合わせるという感じで…(結果、なんの説明もなく、読者や視聴者は
大いに混乱したわけですが…)。
魔法を使うために必要な魔力は人体に内包されている力らしいです(ここも描写がないのでわかりませんがそういう設定です。せめて主人公をスキャンして、「よし、人並みにはあるようだな」とかあるだけで違うと思うのですが…)。そして、ホウキ状のデジタルデバイスに魔法の術式やらなにやらがパッケージされているようです。なんで乗りにくそうで危なっかしいホウキの形態を保つ必要があるかもこれまた不明。まあ、魔法少女ならホウキだろ!(魔法使いか魔女では?)と、押し切れればいいですが、大まかな形状がホウキ状であるものの実際は掃除機のようなメカニックな外見です。細かい話ですが、せめて『終末のイゼッタ』に登場するホウキ代わりの対戦車ライフルのようにサドルでも付けてあげればいいのにと思いました。
そして、この作品の一番の問題点、首を捻る点は、魔法少女の社員としての業務です。魔法少女の業務は大小の災害を引き起こす“怪異”を封じることですが、タイトルにもあるように魔法少女が属するのは株式会社、つまり民営の営利企業です。この作品の主軸として、現実に準じた世界で、魔法少女は会社員、そして主人公の就職先は零細のベンチャー企業であることが前提としてある以上、現実的な諸問題を無視して鑑賞することができません。業務は怪異の封印、つまりは災害対応ですから、小規模ならともかく、現実の世界で考えると、警察や消防、自衛隊などが担うべき務めです。それを民間企業、それも大企業はともかく中小零細企業のこれといった訓練もなく免許もない女性社員が担う…?かなり問題を感じる状況に思えます。ギャグに振り切った作品であるならまだしもどうも真面目な話のようですし。そして、これまた設定の話ですみませんが、国のバックアップもあるはずなのですが、劇中に出てきません。
3、4話では町が機能不全になる事態まで起きているのに、現場で対処しているのは主人公の零細企業の2人の魔法少女だけ。避難誘導も行われていません。何故そんなことになっているのか?やはりそれを何となくでも納得させる描写はありません。
そういった設定の緩さを無視しても押し通るほどの脚本の面白さも勢いもなく、キャラクターに強烈な個性もありません(社長が何故か魔法少女様の女装なのは個性と言っていいのかもしれませんが、これまた理由が明らかになるのはだいぶ先という…)
まだまだ、おかしなところがありますが、長くなりましたのでひとまずこの辺でしめておきます。
以下追記
各話において気になるところ
1話
主人公は完全記憶能力がありながら、就職活動がうまくいかないのは見逃すとしても、
面接を受けた会社で怪異に遭遇し、後に先輩となる魔法少女?と邂逅します。そして封印業務をアシストすることになるのですが、主人公が、先輩魔法少女?の放ってる魔法が怪異に対応したものではないことにタブレットの表示で気付きます。
ええ…。この魔法少女?自分が放ってる魔法の種類もわからないのかと…。おそらくこれは主人公の優秀さを見せるための演出と思われますが、そのために先輩が貶められています。
そして変身シーンなのですが…、まず魔法少女姿は業務服ということもあってか、微妙に地味というか簡単です。白メインでどことなくリリカルなのは の なのはに似てなくもないです(もちろんなのはの方が凝っています)。その微妙に地味な衣装へ変身する際に光学エフェクトをやたら散りばめた変身シーンが流れますが、ぶっちゃけプリキュアのそれの上っ面をなぞっただけのようなもので、まるで魅力を感じません。また1話で流れるのは主人公でなく先輩キャラの変身シーンなのですが、位置づけ的に姉御肌のキャラであり、不細工とはいかないまでも、瞳も小さくあまり美少女然とした容姿ではありませんが、妙にしなを作ったポーズが配されミスマッチを感じます(ここは特に原作ファンからも不評を買っているようです)。なお、2話で赤毛ツインテで童顔だけど、成人女子である主人公が初変身する際に社長はじめ社員が感動してむせび泣くセルフパロディ的シーンがありますが、なにせ変身シーンがそれほどでもないので、はっきり言って寒いだけでした。そもそも、この作品の場合、魔法少女姿は言ってしまえば、作業服なので、キラキラした魔力を用いた変身が必要なのかという疑問すら湧いてきます。変身することで、能力に変化があるのならまだしも、描写がなくわかりません。
追記
2話
主人公の変身シーンについては既に書いてしまいました。
周りが主人公を心配したり、信用したりといい人たちのように描かれていますけど、既に書いた通り魔法少女の「業務」は災害救助です。それなりの研修や教育があってしかるべきですが、ベンチャーだからじっくり研修させることも試用期間もない。曰く「ここはベンチャーだ 大企業みたいに1年かけて新人を教育できるわけじゃない その代わりどんな新人でもすぐプロになる 君も望めば今日から魔法少女なんだよ」と言われ、新入社員用に作成されたマニュアルというわけでもない大量のホウキの参考図書を渡されます。
えと…。無茶苦茶です。零細IT企業というならあり得る話なのかもしれませんが、最悪、死ぬこともあり得る業務としか思えないのにこれはちょっと…。全編ギャグならスルーしてもいいんですが。
追記2:そういえば、冒頭でありましたね「魔法少女 それは(略)誰もが憧れて 高給取りで 人気が高い」と、そんな仕事が(危険手当を加味しても)記憶力に関しては抜きん出た能力を持っていたとしても、こないだまで就職活動をしていたポッと出の学生に「君が望めば今日から魔法少女だ」っていくらなんでもそれはないでしょう。そんな仕事があるとしたら詐欺に騙されています。
追記
3、4話まとめて
社長が新人の主人公が提案した方法に対し、「(現場を見ないで決めるのは)ウチの美学に反する」と退けます。理解が及ばぬ主人公は疑問を持ちながら現場に向かいます。が…。何のことはない要は現場を見て想定される被害を考慮しなければならないという話です。それなら、そう話せばいいだけのことですし、それは普通、美学でもなんでもないあたり前のことでしょう。それに現場確認自体は大事なことでしょうが被害予想は現場を見なくてもわかるのでは…。また「なければ作る」とのことで、今までにない魔法と強調して繰り出された魔法ですが、なにせこの世界の魔法でできることできないことが視聴者にはよくわからないこともあり、下水道を利用しただけで“魔法として”何がどう新しくてすごいのかよくわかりません。また、肝心の魔法描写ですが、今では珍しくない、中に浮かぶ光り輝いて回転する魔法陣から何か放たれています。まあ、それ自体が悪いわけではありませんが新鮮味はありません。そろそろギブアップかも…。
5話
途中で観るのつかれました。
社長にちょっといい感じの台詞を言わせたいがためのカラオケ回。なにも5話でカラオケにAパート丸々使わなくてもいいですし、キャラ立ちもロクにしておらず、設定開示もたいして進んでない状況でこんなお遊び回を挟む意味がわかりません。原作にあるようですが、カットするか後回しにすればいいのに。
追記
6話
他社の魔法少女との共同業務とのことですが、経緯というか必然性がよくわかりません。研修なら研修と事前に主人公に話してほしい…。
他社の魔法少女リリーさんからの魔法少女についての語りが入りますが、かえって混乱しました。ネットでdisられてまで、魔法“少女”という呼称を使い続ける意味がわかりませんし、高給でも危険だから成りてもそうそう集まらないとのことですが、誰もが憧れる職業じゃなかったんでしょうか…。
そして偵察中に怪異に遭遇しますが、リリーさんは怪異の動きを抑えるために、周りの水道管を幾つも破断させて、怪異に水がかかるようにします。説明もなくわからないのですが、直接魔法を使いません。1話の怪異も合わない魔法を放っていたことで効果がありませんでしたが、怪異には属性があり、あらかじめ怪異に合った術式をセットしておく必要があるそうです。つまりこの時彼女らは遭遇した怪異に合った魔法の持ち合わせがなかったようです。…この世界の魔法は今まで見てきた世界の魔法に比べてえらく不便なようです。そんな有様でなんで偵察してたのかよくわかりません。見るたびに疑問が増える作品です。
7話
リリーさんとカナが魔法で怪異に対処できなかった理由は説明されず…。依頼したアスト社の魔法少女に救援されますが、理由が説明されなかったため、2人が怪異を魔法で仕留められなかったという事実だけが示されます。それでいいのでしょうか…?
この話で、今まで描かれていなかった避難誘導がようやく描かれました。警察などてはなく、カナとリリーさん。怪異と魔法少女が対峙する現場に群がった野次馬を誘導します。割とでかめの怪異でしたが、野次馬たちは逃げ出したりしないんですね。やっぱりこの話における怪異の脅威がわからない…。こういうところが緊迫感のなさにつながるように思います。カナとリリーさんも怪異を前にしてずっとしゃべっていますし。
リリーさんは魔法少女は素敵な憧れの存在なのだからと、顔に傷を負ったにも関わらずその血で紅を引き、笑顔を保ちますが…。普通、ヒーローなんかが戦ってる現場近くに一般人がいたら、逃げるよう促すものですが、リリーさんは笑顔を見てもらいたいようです。なにか、ヒーローものの視聴者と作中モブの存在が混じってるような奇妙な印象を受けました。
カナは2人の魔法少女から、異なる魔法少女のあり方を聞かされ悩みますが、カナはまだそういう段階ではないですよね…?サブタイトルは「結果と美学」ですが、被害を出さないことが至上命題だとしか思えないので、どうにもズレを感じます。