しゅりｰ さんの感想・評価

3.9
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態：観終わった

2011年、帰還　～追い風を祈る～

2003年の第1作から約2年経った世界を描いているアニメ。
視聴しはじめた頃は前作を観ていなかったのですが、
第1作とは舞台が違うためかあまり視聴に抵抗はありませんでした。
坂本真綾さんのOP曲「Buddy」が気に入ったからという不純な動機で
視聴開始したせいということもありますが…。

個人的には4話あたりから第1作と並行して視聴していったために、
登場する前作キャラの過去を少しずつ知りながら本作も観て行けたことが
良い方向に働いて、毎週楽しみに観れていた感があります。
全23話の本作には2度総集編が含まれるのですが、2度目の総集編が完全に
第1作の内容なので、直前に第1作を視聴完了した私には最近観たばかりの
アニメが遠い過去のように語られていて不思議な気分がしました。


本作は大国アデス連邦が世界統一を掲げて周辺諸国に戦争を吹っかけていくなか、
王都を壊滅されたトゥラン王国の第二王女ミリアと空族の少女ファムとジゼルの
3人がメインで描かれる戦争の中の物語です。
正直に言いますと上記3人の視点だけでは物足りないストーリーに思います。
確かに様々な人に出会い、成長を促されていく姿には好感が持てましたが、
終始主人公であるファム達が周囲のデキる人達に振り回され、空回りして
訳もわからずに騒いでいたら終わってしまったようなところが残念です。

ディーオやタチアナ、アデス連邦の将官達などの視点を考えて視聴すれば
また違った物が見えてきそうな気もしますが、彼らそれぞれの登場頻度も
そう高くはないので物語全体が盛り上がり切らなかった印象が強いです。

映像面はCGで描かれた表情豊かな空や、ヴァンシップ、戦艦などが美麗で
ヴェスパなどが様々な風景の中を俊敏に飛び回る姿に手に汗を握ることしきりです。
ただ、アデス連邦の戦艦ばかり整然と並ぶ映像に飽きが来てしまったり、
戦艦などの大型飛行艇のブリッジ以外のクルーがあまり描かれないところが残念でした。


国、地方ごとに特徴づけられた登場キャラクターのビジュアル、
第1作と同様に独特の世界観を作り出している黒石ひとみさんの音楽と
見た目のイメージが非常に好みだったので、なかなか楽しんで観ていましたが、
上記の通り不満が出てきてしまうところも多く、難しいアニメです。

ただ、私個人が他の方が言う程にこのアニメに強烈な不満を感じていないのは、
やはり中盤の中弛みな時期に前作と並行視聴していたせいなのでしょう。
前作視聴済みの方にはお叱りを受けそうな気もしますが、ラストエグザイルを
全く観たことがない方で、本作の視聴を検討されている方がいらっしゃったら
いっそ前作と同時並行で観るという荒業も本作を楽しむ一つの方法かもしれません。


さて、銀翼のファムが終わってGONZOは次にどんなアニメを制作されるのでしょうか？
どうやらクラウスはリハビリ中みたいなのでメチャクチャなことを言いますが、
クラウス、ラヴィ、アルの3人メインで1篇作ってほしいなんてことも思ったりします。
何にしても、GONZOのこれからに期待して追い風を祈ろうと思います。