キャポックちゃん さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
大人が見ても味わい深い秀作
【総合評価☆☆☆☆】
2008、09年に1クールずつ2期にわたってアニメが放送された『狼と香辛料』だが、2024年になって、「MERCHANT MEETS THE WISE WOLF」という副題付きて2クールの新作が発表された。支倉凍砂による原作小説のうち、旧作は第1~3、5巻を、新作は第1~4巻を、各巻半クールのアニメにしている。新作では、旧作の監督・高橋丈夫が総監督に回り、さんぺい聖が監督を務めたが、高橋の影響力なのか原作や声優が共通するせいか、印象は旧作とほとんど変わらない(つまり、いずれも秀作である)。旧作の第1期と第2期は新作と制作会社が異なり、しかも第1期のIMAGINはすでにアニメ制作を休止、第2期には2社が絡んでいることから推察するに、人気作の版権をすっきりまとめようと、あえて同じ原作を同じ作風でアニメ化したのかもしれない。
近年、濫作のせいで優良な原作が底をついたらしく、かつてのヒット作のリメイクや時間をおいた続編が何本も制作されているが、演出・作画などの出来が旧作に及ばず、ガッカリさせられることが多い。そんな中で、『狼と香辛料』は、リメイク作品が旧作に匹敵し、部分的には凌駕する珍しいケースである(例えば、原作第1巻のキーパーソンを、旧作では女性に変更したのに新作は男性に戻しているが、男性の方がストーリーに一貫性が感じられる)。動物が人間に身をやつして暮らすというファンタジー設定でありながら、中世ヨーロッパを思わせる世界をリアリティ豊かに映像化していることに加えて、主人公のホロとロレンスが、ベタつかず突き放さずというツンデレとは異質の誠実な関係を築いており、大人が見ても(と言うより大人が見た方が)味わい深い。ただ、オオカミの姿に戻ったときのホロが、コーギーみたいで可愛すぎるような…。