いこ〜る さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
AIRにTを足す
原作はノベルゲームだそうですが未プレイ(未読という表現でもいいのかな)。
世界設定は原因不明の海面上昇という割とよく見るパターン。
そこで海面下に沈んだ街からサルベージされた美少女型ヒューマノイドと希望を失った少年が出会い、新たな物語が始まる・・・という、キャラデザのせいもありKeyっぽい感じです。
ちょうど作品の季節も夏なので頭の中では〈鳥の詩〉がリフレインします。
AIRにTを足してちょっと入れ替えると
ATRIですから。
そのTは
『Technology』のTなのか
『魂』のTなのか
物語は、いずれ私たちが直面するであろう人工知性と心の問題を・・・
というよりAIと恋ができるか?恋をするとはどういうことかを問うてきます。
海面上昇とか{netabare}エデンとか{/netabare}は単なる装置にすぎず、物語の主題は『ヒューマノイドに心はあるのか?』でした。
特に8話はちょっと鳥肌が立つ感じで、思わず唸らされました。
ただし、物語的には(そして私的にも)この8話がピークでしたかね。
{netabare}『心がある』に物語の重心が動いて以降は、『避けられない別れ』がだんだんと主題になっていくからです。別に悪くはないのですが、理屈づけが甘いので別れの理由が「そりゃあ仕方がないよなぁ」と納得できないのです。そうしないとどうなるのかがちゃんと描かれていませんでしたからね。
そのせいで後日談のカタルシスも弱くなってしまいました。{/netabare}
これはちょっと残念でした。
声的には私はやはり赤尾ひかるが結構好きです。
ハイトーン系の甘めの声なのでともすると耳にキンキンきますが、それをふっと抑えて柔らかくしゃべると途端に情感が出て、その落差が本作のATRIの芝居にも生きていました。
能天気な高性能ですからヒューマノイドの時と、感情を押し殺しつつ情感を込めてしゃべる時(これを聞いた視聴者はATRIに心があると確信できる)の緩急が上手で、演出意図とも良くマッチしていたように思います。
作画は飛び抜けていいわけではありませんが十分綺麗でした。
ちょっとKeyっぽいのを面白く見れるか、古臭く思うかで評価は割れると思いますが、私は面白く見ました。