てとてと さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
良くも悪くも古い泣かせ系ノベルゲームのロボットとの悲恋。全体的には微妙だが泣かせ度は中々
2021年末発売のノベルゲーム原作アニメ。全12話。
海面上昇で文明衰退した世界観で、心がある美少女ロボットと主人公の交流劇、泣かせ系ラブコメ。
【良い点】
好意的な意味で古臭いというか、古き良き美少女泣かせゲーな感じ。
key作品を彷彿。
令和の現在は廃れた、コテコテなあざといキャラ付けの萌えも良し。
会話劇が良くも悪くも一昔前を彷彿とさせて懐かしい気分で視聴出来た。
脚が不自由で少しひねくれている主人公と、小生意気で騒がしいけれど無邪気に慕ってくれる美少女ロボットのアトリとの交流が地味ながら良い雰囲気。
アトリちゃんの「高性能ですから!」な口癖と裏腹のポンコツぷりも可愛らしく、中盤以降見せる哀しみ健気さもグッとくる。
不老なロボット特有の、主人公が幼い頃から出会い、年老いても…というシチュエーションも萌えた。
記憶の欠損やバッテリー切れによる別れの予感など、ロボット設定を生かした悲恋展開も申し分ない。
後半、主人公がアトリの行動言動がプログラムに過ぎない!と拒絶して以降のドラマチックな展開。
途中経過がかなり重苦しいものの、終盤からラストの悲恋離別の予感からの(本人たちにとっては)救いのある結末で、ほろ苦くも中々泣かせてくれた。
人間の幼馴染ヒロインの70年後は直接登場させずとも、主人公とアトリの恋の成就を完遂させてくれたんだなと匂わせる流れも良かった。
終盤のアトリちゃんの健気さが素晴らしいので、途中経過が微妙でも終わり良ければ全てよし。
幼馴染や親友たちも地味ながら良いキャラたちで、アトリの幸せ後押ししていたのも良かった。
キャラデザや声の可愛さ、主題歌など申し分なし。ここは令和クオリティー。
20年前に放送されてたら絶賛されてた。
【悪い点】
悪い意味でも古臭い。
キャラ付けや会話劇の雰囲気もさることながら、主人公や敵狂人がAIの人間らしさに拘り過ぎる思考とか。
前半のストーリー展開が地味でスロースターター。
舞台の島から話が動かず退屈気味。
世界観設定の割に話のスケールが小さい。設定面の粗はあまり気にしない派だけど、ストーリー上あまり生かせていなかった。
主人公の潜水艇での探索行動をもっと生かしてほしかった。
かと思えば主人公のアトリ拒絶が唐突だったり、以降も話が重苦しい上に強引。
ラストは良かったんだけど、もう少し余韻がほしかった。
【総合評価】6点
微妙な点は多いけれど、最終的にしっかり泣かせてくれたので、美少女泣かせ系としては良かった。
敗因は発表された時代が遅れた事、十数年前に放送されていればマイナーながら一定の評価が付きそうな。
前半の地味さなどもその当時なら許容されただろうし。
…こういう作品を素直に絶賛出来なくなっているのは視聴者の自分の問題かなと。
評価は「良い」