タック二階堂 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
80点の良質な釣りアニメ。
詳細は公式サイトでも。
貴重なアニメオリジナル作品。制作は「幼女戦記」「デカダンス」のNUTです。あ、内容はともかく作画は良好だった「ブルバスター」もね。
余命2年と宣告された主人公・常宏は、借金取りから逃げているところ、橋の欄干から川に転落。河口付近で釣り船に助けられ、沖堤防で目を覚ますという展開。
んで、釣り人集団のハナや貴明に勧められて、生まれて初めて釣りをすることに。というお話。
まあ、過去作から見てもNUTの作画が外れることはないですね。本作も、圧巻の作画を見せてくれましたよ。キャラデザも悪くないしね。
ただ1点。デフォルメ表現のときに、キャラの口が包茎の先っぽの皮みたいな形になるのはいただけない。それをメインヒロインでやるなし。
でもまあ、作画よし、ストーリーよし、声優の演技よしの三拍子。
今期では、十分覇権を競えるポテンシャルを感じました。もちろん継続視聴決定です。
=====第3話視聴後、追記です。
{netabare}
大学の友達に遭遇したら、理由もわからずその場から逃げ、漫喫。100万円の賞金に惹かれて、パチンコで得た資金で竿を買い、ドチザメ釣りにやってくる。そこで借金取りに遭遇して、また逃げる。その逃げ方、雰囲気が「カノ借り」の主人公にダブります。髪型も似てるしね。
こんな主人公を、どう愛せというのか。
なーんて嫌悪感を剥き出しにするのは簡単ですが、これもひとつの物語に対するフックかなと。誇張していますが、多かれ少なかれ、こういうタイプの人間っているもんで。その意味では、リアリティラインとしては悪くない。
むしろ、躑躅森(つつじもり)が借金を肩代わりしてくれた。半グレの借金取りも納得したというほうがリアリティラインに疑問符がつきます。まあ、借金取りの姐さんのCVがみかこしですし、これからも出てくる…のかな? 公式サイトのキャラ紹介ページには載ってないので、ここでお役御免かしら。
まあ、あいつらが登場すると話が進まないので、ここで退場させるのかもですね。正直3話も続いたので、ちょっち鬱陶しいなと思っていたとこなんで。
要は、ここまでがイントロダクション。ここから話が本格的に動き始めるのでしょうね。少し入りがネガティブすぎるけど、タイトルが「ネガポジ」なので、まあいいでしょう。続きが楽しみな作品ですね。
{/netabare}
=====第8話視聴後、追記です。
{netabare}
こちらも「結婚ですか」と同じく、シングルマザー(の父親サイド)の話で、サブキャラメインの(ある意味)閑話って回でした。
が、あちらと違って感動ストーリーに重厚感がありました。
何ていうんでしょうね。たとえば、優くんの、お父さんへの気持ちが反発と好きというのが入り乱れている感じがうまく表現されている印象。
別れ際に声をかけられなかったという点も同じだけど、町田とうさんのは分かるなぁ、あれは。
こういう気持ちの機微を描くなら、こういう描き方をしないとね。本作の良さは、こういうところにあると思いました。力の差を見せつけたかな。どうでもいい閑話ストーリーを見事に魅せた良回でした。
{/netabare}
=====最終話視聴後、感想です。
{netabare}
総括すると、すべての面で80点の合格ラインを越えてきた良作だったと思います。ただ、1クールという尺の制約があったためか…いや、1クールアニメでも傑作はありますので、それを言い訳にはできないですかね。とにかく、突き抜けるほどのパワーはなかった印象です。
話の転がし方とか、キャラの印象付けとか、全体的な建付けは巧みなものがありました。ただ、その反面、各キャラにイマイチ愛着を持ちづらかったのも確か。特にヒロインに関しては、なんていうか、12話を通してただの「釣りキチ」でしかなかったのが残念でしたね。
そのぶん、貴明は非常に人間味あふれるキャラとして描かれていました。うん、ラブコメじゃないし、どうやらW主人公という位置付けでいいのかもしれないですね。主人公のツネヒロが非常にウジウジした好感度の低いキャラだったので、その対比としてバランスを取っていたのだと思います。うん、まさに「ネガポジアングラー」。
釣りがテーマではあるのですが、どちらかというと釣りをトリガーとした人間模様を描いていた作品。まあ、そのぐらいでいいのかなと思います。「放課後ていぼう日誌」は釣りの要素が強すぎたきらいがありましたので。
中盤、ややダレ気味でツネヒロの余命みたいなものが関係ないって声も多かったですが、ちゃんと終盤にその話がキーになってきました。そこに貴明の弟や実家まわりの話を絡めるシナリオは実に巧みだったと思います。
欠点を挙げるなら、やはりキャラ造形。
基本的にはリアル系のキャラなのですが、ハナのボテッとした髪とか、包茎の皮みたいな口の藤代とか、いちばん意味がわからなかったのがコロコロと頭身が変わるアイス。背景も含め、リアル寄りな描き方なのに、キャラデザが変なのが気になってしょうがなかったですね。
ただまあ、総じて合格点は越えてくる良い作品だったと思うので、未視聴の方は観てみるといいですよ。
{/netabare}