ぴかちゅう さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
期待値には達せず
「リズと青い鳥」「聲の形」が好印象(特に前者は素晴らしい)だったので、同じ山田尚子監督ということで映画館にて視聴。まぁさすがに最低限の質は確保していた、とは思いましたが、残念ながら、期待値には達しませんでした。不満点は3つ。
①トツ子は、人を見ると、その人の色が見えます。作品からは、比喩的にではなく、物理的に、ということだと理解しましたし、作品タイトルもそこからきています。私は、一般論として、特殊設定を作品に組み込む場合には、やはり、その設定なくしては作品展開が不可能である、ということが必要だと思っています。それが、あえて特殊設定を組み込んだ意義だからです。しかし、私にはこの作品を通して、その意義が見えませんでした。 {netabare}トツ子が人に色をみることができる、という設定なしでも、本作のストーリーは書けたのでは、ということです。 {/netabare}
②きみの行動の意図がよくわかりませんでした。{netabare}特に学校を中退した理由がよくわかりませんでした。中退しなくてはできないようなレベルの音楽をやっているわけでもないと思いますし。そもそも保護者の同意なしに中退できるような学校なんてあるんでしょうかね。サインを捏造したのかもしれませんが、しかし保護者と学校との電話連絡くらいはありそうなものです。古本屋でバイトしていた理由も不明です。ついでにいうと、トツ子がきみを見つけるきっかけとなったのは、たまたま聞こえてきた、トツ子の学校の生徒が本屋できみを見かけたと言っていた会話です。しかし、いまどき、ああいう感じの古本屋に、普通の女子学生が行く機会なんてあるのか、と思ってしまいました。 {/netabare}
③起承転結の「転」が弱いと感じました。 {netabare}本作や私が視聴した上記作品のようなタイプの作品では、例えば、恋愛関係や友情関係が危機にさらされるとか、緊張関係に陥るとか、そういうことが「転」にあたることが多いと思います。それに比較的近かったのは、トツ子ときみがルイに会えなかった1ヶ月くらいの期間と、それぞれが親に秘密を伝えた部分でしょうか。しかし、いずれもさらっと問題なく過ぎてしまった印象でした。{/netabare}