二足歩行したくない さんの感想・評価
3.3
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 1.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
愛は輝く舟過去も未来も
細田守監督作品。
原作は一応ありますが、実質的に細田守監督のアニメーション映画作品の一作目であり、その後に作られる細田守作品群の最初の作品と数えられます。
数々の賞を受賞した氏の出世作ですね。
筒井康隆氏の小説が原作ですが、単純なアニメ化ではなく、小説の出来事から約20年が経過した別のストーリーです。
作中では原作小説の主人公・芳山和子が、角川映画版で主役演じた原沙知絵の声優で登場しているというファンサービスもあります。
別ストーリーですが全くのオリジナルというわけでもなく、原作小説から設定、ストーリーの流れが輸入されているところもあり、現代版・時をかける少女として完成度の高い作品でした。
主人公は、とある都内高校の2年生・紺野真琴。
彼女には、津田功介、間宮千昭という二人の友人がいて、放課後は三人で野球をよくする仲です。
ある日、真琴は、日直でノートを運んでいるときに、理科準備室で不審な人影を発見し、その人物を確かめようとしたところ転倒し、その直後に不思議な光景を見る。
理科準備室の床で目覚めた彼女は、自分の体験を不思議に思いながら、いつも通り自転車で下校するが、その時、自転車のブレーキが壊れてしまう。
坂道で止まることができず、遮断器を乗り越え電車が走る線路に侵入してしまい、電車にはねられた、ところで、気付はひかれる前の時間に戻っていた。
その出来事を叔母の芳山和子に尋ねると、それは"タイムリープ"であることを説明される。
その後、タイムリープをコントロールできた真琴は、それを利用していろんなことを企てるが、というストーリーです。
お調子者の真琴は、降って湧いたタイムリープという能力を好き勝手利用して、やがてそのリスクに気づいて後悔するというのび太くんポジションですが、最後もドラえもんライクにいい話で終わります。
ストーリーの始まりから完結までがとてもきれいで、一度バッドエンドになりかけるが、まさかの展開で救われるのがとてもうまいと感じました。
テンポもかなり良く、万人におすすめできる作品だと思います。
ただ、致命的な点として、声優の滑舌が絶望的に悪く、神シナリオに反して演技が学芸会レベルです。
フレッシュさ求めた結果、なぜか声優を排除したという謎のインタビューがあり、ある意味では「俺でも声優になれる」と多くの人に思わせてしまった罪深い作品でもありますね。
加えて、貞本義行がキャラクターデザインのため、主人公の真琴は女装したシンジ君です。
激しいアクションにかかわらず鉄壁のミニスカートでパンツの色は守られていますが、残念ながらあまり気にならないです。
爆死であっても観客動員数を確保するための話題作りのためと思いますが、これで脚本がまずければ目も当てられない結果になっていたような気がします。