「メイドインアビス 烈日の黄金郷(TVアニメ動画)」

総合得点
81.4
感想・評価
428
棚に入れた
1605
ランキング
406
★★★★★ 4.1 (428)
物語
4.0
作画
4.2
声優
4.1
音楽
4.0
キャラ
4.1

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ネタバレ

とまと子 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

畏怖と憧憬

  
ヒトの想像力だけで深淵という名のたて穴を創り上げ、その奥底に向かって降り進んで行くということは、そのイメージを生み出した自らの精神の中を掘り下げていくことに他ならない…
1期〜映画を観ていて何よりも感じたのはそのことで、登場人物たちを突き動かす気持ちは「冒険心」などと呼んでしまえるようなものではない、もっと抗えない力を持った「強い引力」だと思っていました。

そして物語は進み、この2期ではもはやヒトの頭や意識の中だけではなく、ヒトになる前…母親の胎内でひとつの細胞から発生してきた歴史を辿る「胎内回帰の旅」…つまりヒトに至る”進化の歴史”を遡る「生命の旅」へと進んで来たように思います。


それは侵すべからざる領域。
だからこそ憧れ、あるいは懐かしみ
そして心臓を凍らせるような根源的な畏れを惹き起こします。


細胞は分裂増殖する中でやがてそれぞれがそれぞれの機能を持つ細胞へと「分化」していき、そしてそれは不可逆で通常では元には戻りません。もしそれをES細胞やiPS細胞のようにあえて強制的に未分化の状態にもどすならば、その細胞は持っていた機能を失ってしまいます。
そしてそこからまた再分化させようとするならば、うまくすれば新しく生まれ変わるか、あるいは畸形や癌細胞になってしまいます。

アビス深層への旅はいわば”未分化への逆行”の旅。
それ自体タブーでしょうけれど、もちろんそこから戻ってくることはできません。

今たどり着いた深界六層で起きていること、そしてここに至るまでの物語のイメージは、まるで顕微鏡で覗き込んだミクロの世界での、細胞や微生物たちの相食・分裂・破壊・再生のドラマのようです。


生命の根源は、すべての生き物を原初の姿にしてしまいます。
{netabare}ワズキャンたちの生き残りはイルミューイから作った”偽子宮”に守られることで、生命の源近くにありながらかろうじて言葉や価値を持ち続けていましたが、{/netabare}通常 体内の奥深くに侵入した分化を捨てきれない細胞は異物として捉えられ、免疫機能に破壊され取り込まれてしまうでしょう。

リコはあくまで人間として母に会いに行く旅を続けるのでしょうから、これからももっと何度もの攻撃を受け、いくつもの身体の部分を失くしていくのでしょう。
そしてついに最深部に至り母と再開するときには、いったい自分の何を残しているのか…?

そしておそらくは最深部から送り出されてきたレグのあらわにされる正体とは、最終最強のキラー細胞なのか、生命の神が作った己の似姿なのか…?


生命の歴史とは、自然淘汰と環境の粛清に抗う生き残りの歴史です。
それは苛酷であるほどいのちの強さを高め、残酷であるほど生きようとするものを魅了します。

いつか到達する最深部で暴かれる「アビスの理」とはどのようなものなのか?

まだ旅は続きます。
 

投稿 : 2024/09/16
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サンキュー:

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