とまと子 さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
雪空にさがす言葉
ちょっとしたきっかけて観始まって、土日で一気観して…完璧にドはまりしちゃいました。
めっちゃめちゃ、好きです!このアニメ♡
日常的でリアルな会話劇…
東京近辺の地方都市の思春期…
学校と登場人物の家庭が主な舞台…
ちょっと暗めの男の子が可愛い感じの女の子に想いを寄せる…
そういう感じ、これの2クール前に放送されていた「月がきれい」に近い感じあるかもです。
ただ、キャラデも地味め、作画はちょっと不安定で、動きもときどきぎこちなくなって、そういうところではアニメファンにとっては「月がきれい」みたいな”大人気!”にはなりづらいかも知れないです。
でも何故かわたしにとってはそういうところも全然悪い感じがしませんでした。
ちょっとデッサンが下手でも、視線とか表情とかはしっかり描いていてくれていたし、”雑に作られた”という感じはまったくしません。
しっかりとていねいに織り上げられた物語だと思います。
この物語は、高校最後の3学期が始まってから卒業までの、ほんの短い数ヶ月のできごとを描いています。
今さら何かを始めたりもしない、今までのことを終わらせて、片付けて、部屋やロッカーや引き出しを空っぽにして、学校も来たり来なかったり、宙ぶらりんで空虚な時間。
でも今までで一番濃密で、深呼吸のあとに息を詰めているような、空気の中の微弱な電気をずっとピリピリと感じているような、「その日を待っている」時間…。
雪が降るときの空って、何故か「あ、これは雪になるかも…」ってわかる特別な空気感があると思っているんですけど、その予兆をはらんだ曇天の朝のような凛と張り詰めた空気が、このアニメには満ちていて、わたしにもあった「あの頃」の感覚を呼び起こしてくれます。
恋愛や友情や偶然の出会いでつながった女子男子が、水族館に行ったり初詣に行ったり…
もしかしたら高校生としては”リア充”に見えるかもしれないような登場人物たちですが、でもその誰もが”充実”なんかしていません。
どこかが欠けていて、なにかを諦めていて、気後れや弱気を抱え、少しずつ傷ついています。
あてにならなくて、いつか消えてしまうかもわからなくて、でも自分ではどうにもできない気持ち。
そういう想いたちの、短くてちいさな、冬のひとときのドラマです。
ただ、もしかしたら、わたしにとってはもっと個人的な理由でこのアニメを特別に感じたのかも知れません。
この風景、わたしが育って学生時代を送った実家の近くの感じにすごく似てるんですよね…。
わたしのところは湘南とか藤沢なんていうおしゃれな場所じゃないですけど、でもアップダウンがあって、ちょっと山間の緑がたくさんある中に新しめの家が並んでて、山の稜線の感じとか、夜の明るさ…というか暗さというかそういう感じも、どうしても思い出して重なっちゃいます。
丘を登る坂道とか「このまま登りきってちょっと行ったら実家じゃん!…」っていう感じでしたw
だからそこで暮らしていたころの、ぐるぐるしたり、ぐだぐだしたり、悩んだり、しゃがみこんだり…そんな思い出をオーバーラップさせて観ていたのかも知れません。
でもどんな理由であれ、とにかくこのJUST BECAUSE!はわたしにとって特別なアニメになったということには、間違いはありません。
見つけられて、良かった♡