Witch さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
「恋」×「選挙」×「チョコレート」の3つの軸で1クールを飽きさせず疾走
【レビューNo.141】(初回登録:2024/9/8)
ゲーム原作で2012年作品。全13話。(13話は閑話)
以前エロゲー原作で『グリザイアシリーズ』のレビューを書いたので、これは
本作も外せんなっとw
エロゲー原作って、ゲームとしてシナリオやキャラデザ等が洗練されてたりす
るので、何気にレベルの高い作品も多いんですよね。
(ストーリー)
主人公・大島裕樹と幼馴染の住吉千里は高藤学園の食品研究部に所属。
(通称ショッケン:主な活動はお菓子を試食したり、ダラダラ過ごしたりw)
そんなショッケンに廃部の危機が訪れる。
自治生徒会財務部長で東雲皐月が次期会長選に立候補、公約の一つに
「部活動を整理することで財政の健全化を図る」
を掲げたのだった。
部内で対策を検討した結果
・ショッケンからも候補者を擁立して対抗(皐月の当選を阻止)
→ (本人を除く)全員一致で大島を選出
とはいえ
・皐月は財務部という強力な組織を持ち、人気・実績も十分な最有力候補
・ショッケンには選挙の地盤もノウハウもない
という極めて厳しい状況。
そんな大島達に治安部出身の現会長・毛利夜雲が接触してきたことから事態は
大きく動き出す。
(評 価)
●恋
{netabare}原作がエロゲーですので、主人公がいろいろな女子からモテまくりの展開は
お約束なわけで
・ショッケンの千里や木場美冬
・対立候補の東雲皐月
・経済特待生の青海衣更
といった、美少女たちとの交流を経てしっかりフラグを立てていく大島。
しかしこの手の作品としては珍しく、きちんと結末までを描いてくれます。{/netabare}
●選挙
{netabare}・高藤学園は生徒総数6000人のマンモス校(選挙票数)
・自治委員会「治安部」「財務部」「総務部」行政3部に別れて学園運営
→ この3部が政権争い
・今回「治安部」はある事件により候補者擁立を見送り
→ 政権を渡したくない「治安部」はショッケンを支援
このような舞台が用意されているので、選挙戦は見応え十分です。
・選挙戦を知らないショッケンメンバーに毛利会長がノウハウをレクチャー
(視聴者向けに結構小まめに入れてきてくれる)
・有権者(生徒)への呼びかけをはじめ、後援会立ち上げ、資金集め(物販
イベント)といった実地活動
・”与党”という言葉が出てくるなど政局の話や風向きや票読みなど意外と
本格的
そしてこの選挙を戦い、選挙の表も裏も知った大島が自分の思いを語る最終
演説に強いカタルシスを得て締めくくるという。{/netabare}
●チョコレート
{netabare}・過去の事件に捉われたままの千里の”心の闇”
・そんな千里に付き合う大島が抱く葛藤
このトラウマ的な事象を象徴するアイテムがチョコレートになっています。
大島と千里が単なる幼馴染というだけでなく、どこか歪な関係で描かれてお
り、この3つ目の軸を提示することで物語に奥行きを出している感じですね。{/netabare}
ノリやキャラデザなどは2010年初頭っぽさを感じさせますが、
・前半はコメディ多めでテンポよく畳みかけ
・中盤でシリアスな展開を放り込んできて、 心打たれる感動話も見せつつ
・終盤は選挙戦の裏に潜む”学園の大きな闇”でダイナミックに物語を動かし、
ラストまで一気に描いて綺麗に終わる
それなりに粗もあるが、「ホント1クールできれいにまとめたなあ」と賞賛すべ
き作品に仕上がっていると思います。
OP「シグナルグラフ/Annabel」
・2010年初頭を感じさせるハイパーポップな感じがたまらない!!