とまと子 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
水彩画の物語
高校に入って、わたしは帰宅部のままだったんですけど、友達が所属する美術部に遊びに行ってそこで先輩の二年生が油絵を描いているのを見ました。
油絵なんて中学校では描いているひとはいなかったから、ただ「すごいですね」と言うと、「油絵より水彩画の方が難しいんだよ」と話してもらえました。
油絵はちょっと間違えても上から重ねて違う色を塗ってしまえば直せるけど、水彩画は一度色を置くと紙に染み込んでどうしても残ってしまうから上描きが効かないんだ、と。
このアニメでは全編にわたって、淡い色の水彩画で作られた背景の上で繊細な線で描かれた人物たちが物語を繰り広げます。
水で溶いた絵の具を、ひと筆ひと筆 紙に落としていく。
色は白い紙に染み入って、ときには思いがけないように広がっていく。
静かに、速やかに。
そんな風に、主人公のふみの心にも人を想う気持ちの花が開いていきます。
彼女は上描きが上手にできません。
いちど染み入ってしまった絵の具の色は、拭き取っても消せない。
『失敗作じゃない。あれは本番前の練習作だったんだ』なんて、
そう思えればいいんでしょうけれど。
ふみは”めんどくさい子”なので、そんなふうには考えられないでいます。
ちょっとしたことでまたココロが震えて、ぽろぽろ涙をこぼしてしまう。
「ふみちゃんはホントに泣き虫なんだから」
幼馴染のあーちゃんが、隣に来て笑ってハンカチを差し出してくれます。
こういう人が、ふみみたいな人には必要なんですよね。
{netabare} 原作ではこの後もお話しは続いて、ふみとあーちゃんはもっともっと近づいていきます。{/netabare}
最初にお話しした先輩に、
「じゃあ水彩画で一度失敗してしまったらどうするんですか?」と尋ねたら、
「どうしようもないよ。また次の絵を描くんだよ」と答えてくれたのを憶えています。
彼女は本当にそういう風にたくましく生きて、今ではアメリカにあるデザイン事務所に務めているとのことです。
わたしはダメですww
めんどくさいウジウジした奴なのでw、このふみちゃんみたいな人にシンパシーを感じてしまいます。
そんなわけでこの「青い花」も、わたしにとってはとても好きで大切なアニメのひとつなわけです。