nyaro さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
設定は下品で最低ですが、奥行は感じる永井豪氏のアニメ作品。
さて、本作は永井豪氏原作のごく短い作品のOVAです。内容はあらすじの通り、ヒロインの母がヒロインの処女を奪えば財産をもらえると宣言するような話です。それだけ聞くと人権とか品とか言いたくなるかもしれませんが、それだけではありません。
まず、ヒロインがかなりのマッチョで戦闘力があります。ですので、力づくで無理やり…というようなシーンに対抗できる力はあります。そして、一応財閥を継続するための必要悪として、ヒロインが婿取りすべき理由が付きます。そして、そのことは結末で一族の因縁あるいは悪習として落とし前を付けます。
そこまでなら良くある話なのですが、本作は意図としてヒロインの見た目の本質について何か言いたいようなのです。聖女のような叔母さんからもらった鏡が割れて、ヒロインが自分の姿を見ようとしても上手く見ることができません。
そして叔母さんが住む島に逃げようとしても、その島の姿がちゃんと捉えられません。結論は富士山のようですので、叔母さんの正体も謎です。ただ富士山云々にこだわるよりも、母親だけでなくヒロインの側も、物事の本質も自分自身も理解できていないような描き方になっています。
つまり、母との対立関係においてヒロインの側にも原因があるということです。ここはまあ、恋愛関係の話で身近にいた執事との愛情になってくるわけです。この辺の描き方は面白かったです。
で、本作については原作も永井豪氏の全集的なもので読んだことがあり、原作の方がかなりの下ネタだしエロも多く展開は全く違います。叔母さんのキャラ造形も役割も全然違います。
ただ、言いたいことは本作アニメ版と共通項もあり、結局はヒロインが自分の感情をわかっていないような印象は受けました。その辺でさすがに昔の作家は含意を入れてくるなあと感心した記憶があります。かなり原作とは違いますが、アニメ版もその辺はすくい上げていました。
作画、キャラデザは古すぎだし、全体的に面白いかといわれると正直どうかなと思います。1992年(原作1983年)の作品ということで当時の状況はわかりませんが、当時ですら厳しかったかもという感じでした。ただ、上の感想のとおり、1度見る分にはそれほど時間の無駄感もなく、昔のOVA故に感じる新鮮さは堪能できる作品でした。45分くらいです。
過去作ですので評価せずオール3にしておきます。