「終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?(TVアニメ動画)」

総合得点
87.6
感想・評価
1297
棚に入れた
6397
ランキング
146
★★★★☆ 3.7 (1297)
物語
3.7
作画
3.7
声優
3.7
音楽
3.8
キャラ
3.7

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ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

「15歳~悲運の少女の物語~」・・・美しいが、設定等が少しごちゃついている印象

【レビューNo.140】(初回登録:2024/9/1)
ラノベ原作で2017年作品。全12話。
いつかちゃんと観ようと気にかけてた作品だったのですが、ずっと後回しにし
てたんですよね。
ABEMAで一気見配信やってたので、この機会にようやく重い腰を上げたという
感じですね。


(ストーリー)
人間族が滅んでから約500年。地上は「獣たち」に蹂躙され、生き残った様々
な種族は上空に浮かんだ陸地、浮遊大陸群(レグル・エレ)で暮らしていた。
人間族唯一の生き残りであるヴィレムは、友人の勧めで護翼軍の兵器管理の仕
事をはじめることになり、68番浮遊島にある軍の施設「妖精倉庫」にてクトリ
たちと出会う。(クトリについては正確には再会)
一見ただの子供たちにしか見えない少女たちだが、彼女らは妖精兵(レプラカ
ーン)と呼ばれ、遺跡兵装(ダグ・ウエポン)と呼ばれるようになっていた人
間族の遺産・聖剣を使いこなすための「使い捨ての兵器」として、浮遊島を襲
ってくる獣たちと死闘を繰り広げていたのだった。


(評 価)
・「15歳~悲運の少女の物語~」はよくできている
 ・この作品の格子は割と単純です。
  「15歳の少女クトリの物語」
  ~以下重要ネタバレ~
  {netabare}・それまでは「使い捨ての兵器」として、死んでいくだけの運命だった。
  ・ヴィレムと出会い「初恋」を知り、それからいろいろな「初めて」を体
   験し、「私は世界一幸せな女の子だ!」と生きた証を見い出し、
  ・最後は愛する者を守るために散っていく。
  という「美しくも悲しげなダークファンタジー」として描かれています。
 ・演出も目を見張るものがあり
  ・「終末」という閉塞感漂う世界観を効果的にみせ、「生」を際立たせ、
  ・クトリの「使い捨ての兵器」という部分を除いては、極めて「普通の真
   面目な女の子」という描き方が秀逸で、ここに「初恋」を加えることに
   よる効果は絶大。
  ・ラストの「私は世界一幸せな女の子だ!」からの「Scarborough Fair」
   に乗せた「戦いの舞」は美しくも儚げ。{/netabare}
  この辺りは非常によくできている作品だと思います。
  クトリ、ヴィレム以外のキャラもしっかり描けていたのも好印象ですね。


・設定等が少しごちゃついている印象
 ただ作品全体としては情報量が多く、設定等が少しごちゃついている印象
 を受けました。
 (上述”ストーリー”中で独自の用語が散見される時点で察し・・・
  って感じですがw)
 ・例えばヴィレムについてですが、
  {netabare}・この世界の成り立ちに触れているのだが、地上の支配者として君臨して
   いた人間族に創造主である星神が宣戦布告。そして準勇者だったヴィレ
   ムは戦いに勝利するも呪いにより石化され――その間に地上は突然現れ
   た獣たちにより蹂躙され、大賢者たちが、浮遊大陸群へ残った種族を逃
   がし凌いでるみたいな。
  ・ここに星神の名がエルクだの、イーボンキャンドルだの、正勇者の名が
   リーファだのこいつらがその場限りなら問題ないのだが、後からいろい
   ろ絡んでくるから始末が悪い。これだけでもうお腹一杯って感じなんだ
   よなあ。
   (他にも意味深っぽい設定が放り込まれるが、結局中途半端で終わった
    りみたいな){/netabare}
 ・原作はかなり設定が練られていると思われ、ラノベで読み進めるには物語
  に厚みが出て面白みがあるかもしれませんが、
  ・アニメではカットできるものはしたいが、微妙に本筋に絡んでくるので
   カットするわけにもいかず、
  ・さりとて1クールの尺だといろいろと厳しい
  って感じで、少しもてあましているのかなあっていう印象ですね。
  とはいえ、制作陣のできるだけ話を分かりやすくしようという努力は感じ
  られましたし、全体的な世界観は魅力的に描かれていたと思います。


・作画は悪くないが・・・タイトルで損している部分も
 ・作画は決して悪くないです。でもストーリーの出来のよさを考えると潤沢
  な予算で創られていたらどうなっていたか・・・
  かなりビジュアル映えする作品だと感じたので、この作品を活かしきる神
  作画で描かれていればと少し惜しい気がしますね。
 ・そしてタイトルも作品を誤誘導しているようで勿体ないなと。
  ・原題は「箱庭世界の天使と悪魔」だった
  ・それでは他作品に埋もれてしまうということで、当時蔓延していたLINE
   アカウント乗っ取り詐欺で犯行グループが多用した定型文
   「何してますか? 忙しいですか? 手伝ってもらっていいですか?」
   から引用
  という経緯らしいのですが、この作品の持つ
  「美しくも悲しげなダークファンタジー感」
  が微塵もないタイトルになってしまったなあっとw
  「タイトルがやたら長いラノベ原作作品にはうんざり!」
  と、見限った層もそこそこいそうな感じがしますね。


なので個人的な評価としては
「ポテンシャルは高いが、あと一歩のところで惜しい作品」
という感じになるでしょうか。
しかし世界観は総じて魅力的で、純粋に「15歳~悲運の少女の物語~」とし
ては感動要素が強く、泣ける人には泣ける作品になっていると思います。


OP「DEAREST DROP/田所あずさ」
・Q-MHzが手掛けたアニソン感高めの切なく儚い曲調がなかなかに良き。

あと前述した「Scarborough Fair」をはじめ、他の挿入歌も効果的に使われ
ていた印象ですね。
他の方のレビューによると、「Scarborough Fair」には深い意味があり本作
との関わりも強いようなので、その辺を事前に拝読しておくと、より作品の
理解度が深まると思います。

投稿 : 2024/09/03
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サンキュー:

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