takato さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
高畑、押井、湯浅、山田、この面々の共通点とは?。公開規模はちゃんと考えよう。
答えは、みんな原作付きの方が宜しい!(チャンチャン)。
んで、終わっちゃあんまりなので書かせて頂きます。これらの作家性のある面々は、共通してオリジナルやフリーハンドを任されると抑えが効かなくなってバランスを欠きがちであると個人的には思います。高畑さんも押井さんも湯浅さんも、実は原作あるTVアニメやってる時の腕の冴えの方が凄い!。
山田さんも「聲の形」、「平家物語」としっかりした骨子のあるドラマを下敷きにした時こそバランスがとれて真価をかえって発揮できていると思えます。この辺の神棚に上げちゃうような、一種の天才信仰みたいなのは黒澤明あたりからきてるのかもしれませんが、最近の庵野さんもこの貫穿にはまり込んでしまっているように思えます。映画にしろアニメにしろ共同作業なので、「みんなの力をオラに分けてくれぇ〜!」が上手くできる時の方が面白い。
そこで山田さんの作家性ですが、やはり出自である京アニ、それも「けいおん」以降の日常路線が根底の方だと思います。物語の大きなメリハリより、圧倒的に細部のフェティッシュなまでのアニメ表現力の追求に偏りがち。
それはそれで魅力があるのですが、やはり2時間とかの枠で完結して満足感を与えないといけない映画では弱い…。それに近年の日常系の傑作は、その枠内にいながらも最終的にクライマックスやカタルシスを上手く盛り上げるようにできている(「ゆるキャン」、「明日ちゃん〜」などなど)。
本作は本当に日常芝居の妙のみ特化!といっていいくらいで他がほとんどない…。一つ一つのエピソードが流れていくが、それが捻りを産んだり山を作ったりが殆ない…。そういう作りはなし!とは言いませんが、それで傑作を作るのはオーソドックスな道より遥かに高度と言わざるえない。
掣肘しまくりでろくに制作できないのも駄目だし、かといって一人の才能に任せ過ぎちゃうのも駄目。才能と才能ががっぷり四つに組み、お互いの良いところを引き出し合う化学変化が各所で起こる。それこそ共同作業の理想であり、あるべき姿ではないだろうか?。ただ、山田監督の次回作にご期待ください!な気持ちはこれからも変わらないので、次は良い原作と組んでお願いします。