蒼い✨️ さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
宮廷探偵・猫猫。
【概要】
アニメーション制作:TOHO animation STUDIO、OLM
2023年10月22日 - 2024年3月24日に放映された全24話のTVアニメ。
原作は、「小説家になろう」に連載していたweb小説が主婦の友社の目に止まり、
書籍化でヒーロー文庫から刊行されている日向夏のライトノベルであり、
原作イラストは、松田恵美・しのとうこが担当。
『月刊ビッグガンガン』にて、漫画家・ねこクラゲ、
『月刊サンデーGX』にて、漫画家・倉田三ノ路によるコミカライズ版が、
並行しての連載中。
監督は、長沼範裕。
【あらすじ】
大陸の中央に位置する大国である中華風帝国の茘(リー)で、
遊郭が立ち並ぶ花街でも有名な高級楼閣の緑青館(ロクショウカン)
そこの一室を間借りしていたのが薬師の娘の猫猫(マオマオ)
人さらいにあい、後宮の下女として売り飛ばされていた。
人さらいの利益になることはやりたくないと、知識や能力を見せることなく、
年季が開けるまで淡々と下女の仕事だけをこなすつもりの猫猫だったが、
この国の皇帝の御子が赤子のうちに亡くなりがちなことに首を突っ込んで、
その謎を解いたことから、美形の宦官として女官の誰もが虜の壬氏の興味を引いて、
猫猫の生活が一変することになるのだった。
【感想】
なろうも書籍も読んでなくて、二種類の漫画版を程々に嗜む程度の読者です。
中世中国風の世界の物語ですが、厳密に史実の中国を参考にしているわけでもなくて、
いろんな時代の文化や化学の知識を都合よく混ぜ合わせていますし、
現代の日本人にわかりやすい口調でカタカナの固有名詞が度々用いられていまして、
中国風の設定がかなり作り込まれてはいるのですが、
それはナーロッパの中華版DXと言うべきでしょうか?そんな作風でありながらも、
漫画版→アニメ版の作画にあたっては、嘘くささが気にならない程度には、
装束や生活環境などの設定の作り込みが重要なのですが、それがかなりの難作業っぽくて、
本当にお疲れ様と言ったところで、そこの仕事には敬意を払うところです。
(別の出版社の別の漫画家が編集者が資料作りに全く協力してくれずに、
スケジュールが崩壊して満足に作画作業ができなかったと旧twitterで愚痴っていて、
うまく行かないところは本当に連携取れないんだなと思ったりします。)
周りのキャラが知らない化学の知識で猫猫が無双して謎解きをするミステリーで、
猫猫の口から語られる薬学や化学の解説が知識欲を刺激されて作品の魅力なのですが、
交易が盛んで学問が発達しているに違いない、この世界でも有数の文明国家で、
猫猫だけがなんでも知っていて、他のキャラが全員驚き役に過ぎない。
猫猫の養父の羅門のみが猫猫の知識量と機転を上回れる。
そこのあたりのさじ加減は、「銀河英雄伝説」でヤンとラインハルトが頂点で、
知識と発想では作中の有能人物であろうと才人には敵わないみたいな、
創作のお約束事であり。そこらを気にするようでは、
ミステリーものは楽しめないですなと思ったりしますが、
猫猫だけが理系の世界に生きていて、他はほぼ全員が文系と体育会系に分類された、
キャラ作りなのはなんでだろう?と気になったりはします。
また、女性作家にありがちですが、女性キャラクターの心理の解像度が高い一方で、
男性キャラが基本的には女性視点の萌える部分が強調されてあまり格好良くはない。
語弊がありますが、猫猫をはじめ肝の座った女性キャラに振り回され、
女の強さに驚かされるのがこの作品の男性キャラの概ねの役割であり、
恋愛要素があろうとも、女性本位に偏ったストーリーであるようにも見えます。
不屈の精神を持った女性主人公ら女性陣が男性社会で強かに生きているというのは、
女性読者向けに映える要素がてんこ盛りの作品なのですね。
賢くドライなヒロインが知識と弁舌で力で上回る男どもと渡り合うのは、
現代の女性向けの作風の作品であると言えるでしょうね。
ただね、この世界で最高の教育を受けていると思われる壬氏ですら、
猫猫の話を一から十まで全部聞かないと話を飲み込めなかったりで、
猫猫と羅門、その他のキャラで持っている知識量が違いすぎてて、
この世界での化学などの知識が秘匿されてるかのように教育格差が大きすぎて、
いわゆる知識マウントがなろうだなっと思ってしまう自分は、
どうやら、そこの折り合いがつけられない人間のようです。
ともあれ、インテリジェンス系のストーリー自体はひとつひとつよく考えられていて、
アニメの美術設定などのクオリティも不足はないので、個人の好みはどうであれ、
それと最終回は良かったですので、すごく好きな作品ってわけじゃないですが
あまり評価が低くはならないのですよね。
これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。