YOU0824 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
マキマは歴史的キャラ
間違いなく今期最も注目の作品。
2020年前後『鬼滅』がマンガ、アニメ共に
歴史的ブレイクした。
世界的には『呪術』の方が人気あったらしい。
当時個人的には『チャンソーマン』が最も好きだった。
手触り感のある作風、文学的な香りがした。
まだ『チャンソーマン』だけがアニメに
なっていなかった。
3傑作揃い踏みは、歴史に残るような、奇跡だったと思う。
3作品は、鬼、妖怪、悪魔など魔物と人間が
並び立つ状況設定が共通していた。
共闘、契約。平気で裏切りもある。
これは今夏アニメ『Engage Kiss』や
『怪獣8号』も同じ。トレンドなのだろうか。
よく言われるが戦後から90年代まで続いた
「大きな物語」「社会的自己実現による成長」物語は、
90年後半になって『エヴァ』に象徴される
「小さな物語」「引きこもり/心理主義」「がんばっても、
意味がない」「がんばると、必ず過ちを犯し誰かを傷つける」
になり、ゼロ年代『DEATH NOTE』のような
「サヴァイブ」「決断主義」へと変遷する。
そして10年代以降「異世界転生」の席巻、
「日常系」の揺り戻しがあり、その混合、自然な流れとして
現在の「魔物共生」があると解している。
綺麗事は言っていられない、夢物語にも甘んじられない。
魔物のいる日常をいかに生き残るか。
契約、混在、共闘、擦り寄り、裏切り。
そういった時代の空気なんだと思う。
『チェンソーマン』は魅力に満ちている。
『ハルヒ』が時代的な意味だけでなく、
作品自体の面白さが魅力的だったのと同じだ。
作者・藤本タツキの才は、『チャンソーマン』の後描かれた
『ルックバック』で知れる。
太宰、宮沢賢治、大友克洋に連なる東北特有の
土の匂いを感じる。
本アニメでは、マキマを誰が演じるのか、
それが一番興味深かった。
マキマは峰不二子的な清濁、正邪、聖俗を併せ持つ、
多面的、含みのあるキャラ。
デンジもアキに「マキマさんは悪い人なのか?」と訊く。
無条件でイノセントな愛情を捧げてくれる
女性差別的、男性の願望を叶えるのヒロインとは違う。
声優は楠木ともり、その声だけでなく、
養成所に通わず独学で声優を目指した経歴や
絵や音楽などの才でもマキマに合っている。
動くパワーちゃんにアキ、姫野、岸辺を観れる喜びもある。
個人的に、薄幸で自滅タイプののコベニは
作者の真骨頂キャラ、たまらない。
主題歌は米津玄師、絵がめちゃキレイだ。