YOU0824 さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ウテナに恋する
あまり指摘されないが「台」と書いて
「うてな」と読む。
「潔くカッコ良く生きて行こう」
いわゆる少女漫画然としたヒロインに
恋したのは初めてだ。
今期注目の『トモちゃんは女の子!』を
見ているとウテナを彷彿する。
そういえば『ハルヒ』のOP、振り返るシーンは
本作のOPと同じだ。
『4人はそれぞれ嘘をつく』の刺さったUFOも。
知らない所でいろんなオマージュがあるのかも。
「これ以上話をしても、あなたから何も見えない
昔の話にすがる大人には、言い訳が似合う」
「革命少女」ではなく「少女革命」なのだった。
第6話「 七実様御用心!」の突然の「はずし」に驚くが、
第31話、兄・冬芽に「(シャワーに)一緒に入るかい?」と
言われた七実の、「冗談だ」までの「間」も絶妙だった。
牛に卵、七実の逸話はほんと凄い(中二病か!)。
まさに三宅香帆の言う
「闘争、政略、陰謀、その間に挟まれるのほほん日常エピソード」
ってやつ。
①有栖川樹璃と高槻枝織
②薫幹と双子の妹・梢
の関係性にあっと息を飲む。
七実の取り巻き・茎子までスポットを当てる懐の深さ。
第10話で西園寺が去り際、託した交換日記を冬芽が
あっさり焼却炉で燃やす。
この辺から「む!」っと身構えるようになった。
第33話、助手席のウテナが急に大人びて見える。
その時「あ!」と気付いた。
浴衣のシーンがあったのだ。
もう少女ではないということ。
冬芽と西園寺が女性の表情に変わる第35話にも
思いを巡らす。
同性愛、ブラコン、シスコン、ヤンデレ、ヒモ、ショタ、
好色、嫉妬、欺瞞、怨念、憎悪、裏切り、退廃、憧憬、幻想、
傲慢、尊大、野心…
すべてが詰まっている。
いつのまにか愛を使うことを知り
知らず知らず恋と遊ぶ人になる
だけど春の短さを誰も知らない
君の笑顔は悲しいくらい大人になった
(「いつのまにか少女は」井上陽水)
少女が女性になるという幻想…
センチメンタルは甘酸っぱいが、危険でもある。
それが女性を縛っていたりする。
既成概念や負の遺産を断ち切る勇気。
映画『チェンジリング』のようなラストがいい。
『まどマギ』『君の名は。』への繋がりを思う。