YOU0824 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
「今日も初恋みたい」
結婚ということで思い浮かぶことが3つある。
一つは恋は雷が落ちるようなもの
と語った瀬戸内寂聴。
25歳の時夫の教え子と不倫し、夫と3歳の長女を棄て
家を出て京都で生活した。
「命をかけていない恋は信用できない」とも。
もう一つは羽仁進。
羽仁は離婚4か月後に元妻の実妹と再婚した。
理屈ではないのだ。
もう一つは内田樹の
「人はどうにもならなくなった時
どうにかなる力がある」という話。
運命の人は直感でわかるもの。
濁りのない感性は必然を導く。
一目惚れは離婚率が低いというデータもある
『トニカワ』はアニメでは珍しく
結婚後の話だ。慎ましく初々しい。
特筆すべきは「質素」だということ。
結婚届は人気のない区役所の深夜受付。
苗木を貰い帰路につく二人がいじらしい。
印象的なシーンだ
臆せず衝動のまま求婚した星空(なさ)は
それを「誇り」だと言う。
当然のように受け容れる司が清々しい。
損得やスペックではなく
自分の心に従う二人に
人しての原初的風景を見る
「ベルンハルト・リーマンは
ゼータ関数の素数には法則性があると予想し
世界中の数学者が150年かけて
それを証明しようとしている」
「重力波だってアインシュタインが
あると予想したのが先で
発見されたのは100年後」
「この世で最も科学的なことは
先に直感だけが示す答えがあって
後からそれを証明したんだ。
キミに比べたら僕は彼女のことを
まだ何も知らないけれど
この愛を一生をかけて
証明していくつもりだ。
愛が証明されたから結婚するんじゃない。
愛を証明するために結婚したんだ」
先日自分が傑作だと思うアニメに
共通していることに気づいた。
それは「胸がキュン」とすること。
最近では『のんのんびより』と『高木さん』。
「胸がキュン」とするのは
純粋で一途、俗っぽさがないということ。
社会的な成功や出世、勝ち負け、
金、地位、名誉とは距離がある。
大人になると忘れてしまいがちだが
忘れてはいけない大切なもの。
そういう宝に心が響いたものが傑作。
『トニカワ』はそれに連なる
オープニング曲「恋のうた」は
サビのない早口パートの新しさに驚く。
やっぱり鬼頭明里はいい。
エンディングの「月と星空」(カノエラナ)
も名曲だ
「ふたり手をつないで
歩く日々のなか なんどでも
キミに恋して キミを愛して
もっと増えてく思い出」
スケールの大きな歌に
思わず涙がでる。
名言があちこちに散りばめられている。
この作品のすべてがお気に入り。
出会えたことが嬉しい。