芝生まじりの丘 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:----
エンタメとしてはよくできている
自分は一つの作品の名前やキャラを利用してシリーズだので延命させるのは嫌いな人間なので、またガンダムという作品にあるある種の正統的な臭いに自分と合わないものを感じていたのでガンダムというのは徹底して見ないようにしていたが勧められたので視聴した。
作品として描かれるのはいわゆるこれだよと言われるような熱い展開、快楽的な展開の連続である。
多くの「姫(高位者の娘)」に主人公は好意を向けられる。そして、かつての友との戦いがあり、{netabare}さらに憎しみあった敵との共闘がある。{/netabare}
徹底的にステレオタイプに忠実であり、そこにはステレオタイプとして正統な魅力がある。
またどのキャラクタも最初は単純な人物に見えて弱さと憎めないような愛らしさがあり、いかにも人気が出そうなファンが付きそうな造形をしている。感情的で短絡的な暴言をアスランに吐くイザークも、心でアスランを認めていることや自分の正義に殉じている騎士道を見せることでカッコ良さを放っている。
カガリはとても可愛らしくその素直さが殺伐とした展開を救っている。
フレイは物語のサスペンスの道具でありエロティズム要素、ヒロイン要素の道具としていいように使われている感があるが、そのようなキャラクターでも投げ捨てずに丁寧に描き、うまく深い彫りを与えている。
フレイについてもそうだがこの作品の魅力を高めているのはキャラクタが皆単なる表面的なキャラクタにとどめず、思慮のある優しく誠実な人間であるということで、視聴者が劇的な破局、人間関係の破滅を予期するような箇所で皆その想像をかわして大人な対応を見せる、それもただ鈍感というのではなく、当人なりに葛藤した上で分別を持って結論を出したというふうに見せるのが上手い。主人公の友達らはキラがコーディネーターだからとひどく差別をするわけではないし、サイなどもっと起こってもいいのに、その憤まんが本当の徹底的な破局を作り出すことはない。
ただし、そのように手先の技術はあるが、この作品は結局、ステレオタイプを逸脱することが決してない。既知の人物像が既知のテーマを既知の形で掘り下げる、需要前提の感が否めない。
思ったより楽しむことはできたが、結局自分の最初の勘は当たっていて、この作品の持つ正統的なハズレを取らない態度はあまり好みではない。
虚淵とかも例えば計算高い脚本をするが彼の脚本にはもっと汚い下品さがあってそれが好ましく感じさせるのだがこの作品はそうではない。
また、この作品における戦争の描かれ方は結局ホビーアニメ的なそれ以上でも以下にもなっていない。二国間の争いに一個の艦隊で何をするのか、そこにいかなる駆け引きも知恵も見出せずただ強いガンダムが戦い、戦っただけであった。