「かつて魔法少女と悪は敵対していた。(TVアニメ動画)」

総合得点
73.0
感想・評価
109
棚に入れた
342
ランキング
1078
★★★★☆ 3.8 (109)
物語
3.7
作画
4.0
声優
3.9
音楽
3.7
キャラ
3.9

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ネタバレ

YOU0824 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:今観てる

名作になる運命

1954年の『指輪物語』に端を発した「異世界」ものが
70年を経た現在、日本アニメで活況なのと同じく、
60年代『魔法使いサリー』から始まった日本の
「魔法少女少女」アニメは『プリンセス ミンキーモモ』、
『セーラームーン』『まどマギ』と画期的な
作品を経て連綿と現在につながっている。

近年両ジャンルともやり尽くした感があったが、
昨年、異世界ものでは、テンプレートを逆手にとった
『異世界おじさん』や魔王討伐後の虚無感を漂わせる
叙情的な『葬送のフリーレン』という名作が現れた。
魔法少女ものでも、魔法少女に憧れた少女が不本意に
悪の幹部になってしまうというニッチな
『魔法少女にあこがれて』があった。

熟成したジャンルで枠を突き破る構図は
柄谷行人が「内省と遡行」で、
「徹底的に内側に入っていくことで、
内側から突き破って外に出る」
と語ったのに似て、カッコいい。
(ちょっと違うか)

本作が斬新なのは、題名にあるように
「魔法少女と悪が敵対していた」のが
「かつて」だということ。
魔法少女と悪が対立していない矛盾した関係性、
さらにそこに「ときめき」もある。
(ロミオとジュリエットか)

作品に漂う品の良さも混乱に拍車をかける。
始めそれは絵の綺麗さからくるものだと
思ったが、それだけではなかった。
まず原作は2015年に絶筆になっている。
作者が他界しているのだ。
なぜ9年経って今、アニメ化されたのか、
詳しくは知らないが、
そこには作り手の様々な思いがあることは
想像に難くない。
それが何かしら作品にオーラを与えている
ように思う。

さらにヒロインの白夜が歳の割に落ち着いている、
というか苦労人、健気なのがいい。

「忙しくて食事をとりそこねることもありますが、
それはその分貯金に回したと思えば、
お腹は満たされずとも、心が満たされます」

孤児院育ち、中卒、アルバイト、院の手伝い、
格安アパート、貧乏。(『スーパーカブ』か)
それでいて魔法少女…
この組み合わせは新しい。

御使い(猫)とのあざとい関係性。
(人間に姿を変えた時は意外とイケメン)
そこに悪の参謀・ミラが絡まるのだから
混迷は深まるばかり。
あしながおじさんとして感動する展開で、
魔法少女、悪の参謀が登場する。すごい話だ。
映画『君の名は。』や
back number『水平線』のような
清濁交わったカオスな想い。

これはもうすでに名作となるべき運命の作品だろう。
ちなみに抑え気味なキラキラした白夜の声は中原麻衣。
すごい新人だと思ったが、名のあるベテランさんだった。
この辺の起用も素晴らしい。

投稿 : 2024/08/25
閲覧 : 124
サンキュー:

2

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