「負けヒロインが多すぎる!(TVアニメ動画)」

総合得点
65.1
感想・評価
97
棚に入れた
415
ランキング
3456
★★★★☆ 3.2 (97)
物語
3.0
作画
3.4
声優
3.2
音楽
3.2
キャラ
3.3

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ネタバレ

YOU0824 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:今観てる

『俺ガイル』を彷彿する傑作

見返して、後で気づいた。
第1話冒頭ファミレスでの
幼馴染2人のベタで大仰なやりとり、
クサいな、興ざめ…と思いきや、
ワザとだった。
メタ・テンプレート、茶化しだったのだ。
芸が細かい。(サンドウィッチマンか)
ますます好きになった。

制作はA-1 Pictures。
最も好きなアニメ『冴えカノ』を作ったところだ。
『冴えカノ』もそうだったが、
主人公がラノベ通でハイ・サブカル系、
ボルテージが上がる。
(弱キャラなのもいい)

「あのね温水くん、女の子は2種類に分けられるの。
幼馴染か泥棒猫」
「(なるほど大胆な分類だ)」

冒頭からドタバタな展開だが、
これでもかとヒロインたちが残念だ。
(実は勝ちヒロインも残念)
「負けヒロイン」にフォーカスというのが新しい。
ところで第1話サブタイトル「プロ幼馴染」の
「プロ」って何だよ。

「温水くん、そういうとこじゃないかな、
友だちがいないの」
「(大きなお世話だ)」

名作『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』
を彷彿する軽妙な会話、丁寧な人物描写、主人公の枯れ感、
テンプレートを逆手に取った、裏の裏まで練り上げた関係性。
深いぞ。

個人的には、小鞠知花
(名前がいかにも。『のんのんびより』か)
がたまらなく好き。

「教室に居づらくて水を飲み歩いてる」

主人公と同類と見透かされ、
「手洗い場の研究」と言い訳する小鞠。
(温水の「学校の水にうるさい」同様イタい)

「便所メシだと、それは聞きたくなかった。
せめて部室で…」

言うならば「プロぼっち」。
小鞠と温水のこの会話はめちゃイタい。
これほど「学校の水」にこだわった作品も珍しい。
(第7話では「いなかの水道水」も出てくる)
(「温水」姓だから?)
どもり、キョドった言動、弱キャラ。
本格的文学少女なのも、貧乏なのもいい(第8話)。

「もとにもどっちゃった」
「一人でできる。一人でやらなきゃ」

第9話、市立図書館後のシーンは泣ける。
声優・寺澤百花が素晴らしい。

「お兄さまが知らないだけで、大抵います」
「(物騒なことを言うな)」

妹の佳樹(かじゅ)も存在感ある。
海水浴合宿での赤飯が芸細かい。
ほとんどのラブコメ・キャラが網羅されてる
と言っていい。
これでもかのサービス精神。
アニメの醍醐味てんこ盛りだ。

「振られたってなんにも変わんないし、
スッキリもしないんだよ。
でもね、無理やりまわりが進んじゃうから
こっちも進むしかなくなっちゃの」

シリアスで理知分析的な場面も。
学んだり気付きがあったり、教養の作品でもある。

「気持ちを勝手に決めちゃったらさ、
彼女がお前のこと好きだったこととか、
その気持ちがどっか行っちゃうだろう。
幸せになってほしいとか、新しい恋がどうとか、
振ったお前が言うなよ。
お前だけはそれ言っちゃだめだろ」

第4話のあのシーンは名場面だろう。
ニーチェの言葉を真似たサブタイトル
「負けヒロインを覗く時
負けヒロインもまたあなたを覗いているのだ」
も文学オタクっぽくていい。
(作者はかなり通だな)

投稿 : 2024/09/09
閲覧 : 132
サンキュー:

2

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