中島野球しようぜ さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
原作の微妙さをアニメパワーで精一杯塗り固めた作品、おすすめ度★★★☆☆
決着ゥー!!!!!
ジョースター家の歴史を長くに渡って描いてきたが、6部は本作が一旦の終着点とも言えるだろう。未だアニメ化されていない7部からはパラレルワールドの話だし、本来のジョースター家はここで終わりを迎えていると言ってもいい。
3部の主人公だった承太郎の娘、空条徐倫の脱獄と監獄の裏で動き出す陰謀、敵の策謀で能力と記憶を奪われ仮死に陥った承太郎を救うための戦いを前半で描き、後半では脱獄してから真の黒幕であるプッチ神父と彼が呼び寄せたDIOの息子たち(繋がりは無いが同じDIOの息子であるジョルノにとっては腹違いの兄弟)の戦いを描いている。
原作にも見られたバトルの退屈さは映像表現の躍動感で補強しており、ジャンピン・ジャック・フラッシュとの無重力空間での死闘やプラネット・ウェイブスとの懲罰房での戦いはアニメ化により大いに盛り上がるものに。一方でドラゴンズ・ドリーム戦はひたすらテンポが悪くつまらない、同じく個人的につまらない戦いとしてはハイウェイ・トゥ・ヘル戦もあげられるが、あちらはエルメェスのギャグシーンが面白かっただけマシか…
父親に反発していた徐倫が戦いを通して承太郎の真意を知り、父を救うための戦いに身を投じるというキャラの精神的な成長はきちんと描けているが、基本的に利己的かつ打算的に動いている場面か多いため主人公チームの結束力は共通の大敵がいる程度で、終盤まで一体感を感じなかった。そのため味方サイド全員が正式に揃うことはなく、誰かしら抜けてたり分断行動していたりが多かったのはジョジョ作品の中では異質なのでは?ウェザー・リポートは作中でも屈指のミステリアスなキャラだった。
ラストバトルのプッチ神父戦の絶望感は凄まじく、あの承太郎ですら軽く瞬殺してしまうほどで、ジョジョの顔役とも言えるキャラが呆気なく絶命したのには原作同様深い恐怖を味わった。果ては主人公の徐倫すらも軽く打ち倒してしまうというどうしようもなさ。しかしその次の最終回で、エンポリオがウェザーのDISCでウェザーのスタンド能力を発言させて覚醒するのがアツい。この時アニメオリジナルとして波紋のSEが流れる、プッチ神父を倒す時の追加セリフ「みんな未来を知らなくても覚悟があった!」という改変は、プッチ神父がここまで説いてきた持論を完膚なきまでにねじ伏せ、幽霊のスタンド能力を持つことと監獄内で育った以外は文字通りちっぽけな小僧でしか無かったエンポリオにジョースター家の黄金の精神が受け継がれたとも読み取れるシーン。
原作がアレだった分アニオリならではの良さを精一杯光らせた作品。ラストのroundaboutは6部はこれで完結するけどジョジョの物語はこれからも続いていくよというメッセージなのだろうか…