薄雪草 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
異世界は思いもよらず身近なもの??
異世界転生ものですが、どこかの国のリアルなお話にも聞こえます。
少し時代をさかのぼってみれば、そんなに昔じゃない日本にもあったお話です。
例えば、明治天皇は、一婦五側室(正妻1人、側室5人)で、子どもは15人も生まれています。
妾(側室)制度が消失したのは、刑法(明治13年)、戸籍法(同19年)、民法(同31年)の改正・施行によってです。
民法に照らせば、126年前までは、妾の存在は異世界でもなんでもない、言うなら至極当たり前の庶民文化だったのです。
また、世界を見渡せば、アフリカの一部には、現在でも一夫多妻制が散見されます。
その背景については、お調べいただければと思います。
足元の日本でも、男性に限ってですが、合法的に重婚ができる可能性があるみたいです。
女性の場合でも、自分の意志でハーレムの世界に飛び込む方もいらっしゃいます。
もちろんそれらは日本的な道徳や倫理性の是非を横に置く話なんでしょうけど。
ルーデウス(男性)の立場性から言うと、お相手は、ある外国の女性とならという条件です。
この場合、男性は女性側の宗教に改宗する必要がありますが、これらの条件をクリアしたら、複数の妻を持てる可能性があるみたいです。
ミリス教徒のノルンが知ったら、間違いなく激おこですね。
ちなみに民法第748条第1項によると、婚姻(重婚)の取消しについては「将来に向かってのみその効力を生ずる」とありますから、取消しが決定するまでに生まれた子どもの出生届も受理される(その後もずっと認められる)ということになります。
そう思うと、シルフィーとロキシー、ゼニスとリーリャ、ノルンとアイシャのような関係性が、合法的な家族として成立するわけです。
世界はなんと広く、懐はどんなに深く、私など無知の知の人としか言いようがありません。
ということで、波乱万丈にも、奇想天外にも思えるルーデウスの生き方や振る舞いが、現実の法に照らしても有効なものとして成立する可能性がある・・・。
いかがでしょう。
シルフィーを愛し、ロキシーにも幸せになってほしいと願ったルーデウスに、いくらかの親近感が湧いた方は、いらっしゃるでしょうか。
まぁ、日本人の常識的な感覚なら、親しみも何も、どうにも笑っちゃうようなお話なんでしょうけど、ね。
現実世界の公序良俗は、当然、異世界のそれとは実相も内実も違います。
まれに、日本の男性が、籍を入れずに複数の女性と共同生活を営んでいるニュースが流れますが、生まれる子どもの福祉には適っていない選択だと思うので、私には理解不能でしかなく、そういうスタイルは真向反対です。
やっぱり、異世界転生のハーレムものは、あらぬ理想もの、どこかの空想ものとしてきちんと区別し、アニメの中で、ささやかに、つましく嗜むのが正しいお作法だろうと思います。
~異世界行ったら本気出す~。
ルーデウスとしてそこに生まれ、ナナホシに「日本には戻らない」と宣言した前世の男。
否応なしに冒険者となった彼は、目の前で父を亡くすことも、障害のある母を養っていくことも、複数の女性を愛する覚悟と度量を持つことも、本当は相当に大変な "本気" なんだろうと思います。
これからの展開がどうなるのか、ちょっと気が重いところもありますが、そんなルーデウスなりの "本気" を、本気で応援する気持ちは持ち続けたいなと思っています。