中島野球しようぜ さんの感想・評価
4.9
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
ジョジョ史上最も展開の激しいギャングの内部抗争、ジョルノののし上がりとチームの群像劇を描いたジョジョシリーズ珠玉の作品、おすすめ度★★★★★
このジョルノ・ジョバァーナには「夢」がある!
3部、4部と続くジョジョ黄金期の中生み出された本作。承太郎にかつて倒されたDIOの息子という、仗助とは違い全くの非ジョースター家となる異端児のジョジョ(一応DIOはジョナサンの肉体を乗っ取ってるからそれを考えるとジョースター家とも言えなくもないが…)。
ジョルノがギャング組織の乗っ取りという壮大な野望を叶えるという話だけでなく、ジョルノと戦って彼の信念を感じたブチャラティをもう1人の主人公的な立ち位置として置いており、群像劇としての機能をも発揮する。アバッキオ、ミスタ、ナランチャ、フーゴといったチームメンバー、護衛対象のトリッシュの目覚めと戦いをも描いており、チーム一人一人をしっかり描こうという気概が読み取れる。
一介のギャングチームであるブチャラティチームがボスの娘を暗殺者(ヒットマン)チームから守り抜き、最終的にボスの真の目的に気づいたブチャラティがボスを裏切り、新たな戦いへ身を投じることになるという内容。原作にはない暗殺者チームの仕事の内情とボスへの不満や、信念の違い(メタ的な視点から見ればスタンド能力の壊れ具合も)からブチャラティチームに同調できず組織に残留したフーゴのセリフが増えている、フーゴの過去回想も用意されている等、アニメならではの補完場面が多く、原作の面白さを更にひきたててくれる。
スタンドバトルもさらに面白くなり、チート級の能力と強さを持つスタンドや能力自体は一件しょぼくても使い手の技量や機転次第で化ける強力な能力揃い。ブチャラティのスタンド、スティッキィ・フィンガーズはジッパーを取り付ける近距離パワー型スタンドだが、作中での活かし方がとにかく秀逸。ここだけでも能力ものバトルの妙技が詰まっている。
前半のギャングチーム同士の抗争は作中時間的にはわずか数日の出来事で、展開の目まぐるしさや激しいスタンドバトルで緊張感の詰まる展開になっている。後半からのボスの真実へたどり着く過程は、作中屈指の重要なメッセージを体現していると言ってもいい。