ヘンゼル さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
秀才のような感じがある作品
2024年春クールに放送された本作品。
原作は集英社のジャンプ+で連載されている人気作品ですが、ここ最近の評判はあまり芳しくなく、勢いも以前と比べてそこまでと言われています。
ジャンプ+というアプリサイトは無料で作品を読むことができるため、ファンの質もまちまちではありますがしかし、ジャンプ+を利用するユーザー達の意見や感想が全て的外れとはなりません。
人気と批判が両方大きい作品である本作は、良い面も悪い面も兼ね備えている、と言えます。
さて、そんな原作のアニメ化という事ですが、実際アニメとしての完成度はどうだったのかと言いますと、「現代のトレンドを押さえまくった作品」に仕上がっていると思いました。
作画も目立った粗や手抜きもなく、すべからく整っていますし、お話の進め方やテンポも良い。
戦闘シーンはかなり見どころで、ちゃんと見せ場に向けて視聴者の熱を上げに来ているのがしっかり伝わる表現になっているなと思いました。
怪獣という昨今では「キャッチー」かつ「オーソドックス」な要素もまた、分かりづらさから遠ざけ、とっつきにくさを打ち消しているなとも思います。
この辺は話の展開の仕方からも見て取ることができます。
①困難の前兆→②困難を上手くかわす・乗り越える→③更なる困難が訪れる→④その更なる困難に打ち勝つ
大体はこんな感じです。
しかし、分かりやすさを優先させすぎた結果、この作品独自の要素や主張、言わば「味」というものが他作品に似通ってしまったものになっているなとも思いました。
既視感というやつですね。
アニメ・漫画作品に触れていればいるほど、頭の隅で「どっかで見たことあるな」となると思います。
例を挙げると、
{netabare} エメラルドグリーンに発光したエフェクトで敵をワンパン→ヒロアカの緑谷出久。
本作に登場する怪獣を討伐する組織の中において、トップレベルの強さを持つ二刀流のおかっぱ頭の男性→進撃の巨人のリヴァイ兵長。
隕石をワンパン→ワンパンマン。{/netabare}
などといった感じです。
それ全てに言及するのは野暮な話ですが、本作は上記に挙げたようなシーンやキャラにおいて、本作が参考元に上回っている所が無いんですよね。
真似をしている、そういう言い方が正しいのかもしれません。
総合すると、本作はタイトルにもある通り優秀な作品を参考にし、売れる要素を取り込んだ「秀才感のある作品」といった感じですね。
売れる要素、売れるキャラ、売れる話づくり、設定。そういった物を盛り込み、ちゃんと面白い作品に仕上がっている作品だなと思いました。
しかし、本作独自の味というものがそれによって薄れているかなと思います。
模倣しているとは聞こえはいいですが、アニメを見慣れている私にとっては、「面白いけど、他作品の寄せ集め」のような作品でもありましたね。
強いて言えば、おっさんが主人公であるというのが個性かもしれませんが、それはあくまで少年誌の中での話ですので、そこもやっぱり弱いかなと思います。
ここの味が薄れているせいで、他作品より魅力が落ちるんですよね。
個人的には、どこか一つ尖らせても良かったし、本作品のテーマ性をもっと奇抜に設定してあげても良かった。
秀才感が強いのってこういう部分なんですよ。
売れる要素を幾ら模倣したところで、天才の一本通った強みには劣るみたいな。
クリエイター業界って、そういうのが残酷ですよね・・・。
以上です。