newfunk さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
面白さと不満な要素とが微妙に混ざり合う
海外評価が高く気になっていた作品だったので、連休を利用してイッキ見。
まず予備的な情報を一切遮断して素の状態で視聴し、3DCGアニメだったことにびっくり。
東映アニメーションがプリキュアで培った3DCG技術が遺憾なく投入されている印象でしたが、2Dアニメも要所で投入されていて、全体的に効果的に使い分けられていてハイブリッドな印象。
声優の演技力はキャラ毎にばらつきがあり、後で調べたところ現実のオーディションで選ばれたバンドメンバーが声をあてていたとのこと。
その割にはボーカルの女の子の演技力は群を抜いており、これが声優初挑戦というのが逆に驚かされる。
私は北海道の人間なのでなかなか理解が及ばなかったが、熊本出身の女性って皆あんなに強情で、意地っ張りで、我が強いのかな…と。とにかく始終怒っていて、怒鳴り散らしている感じで、見ていて非常に疲れた。
またバンド内のメンバー同士のぶつかり合いも、確かに本音で語り合って泣いたり笑ったりの末に「雨降って地固まる」的な帰着をみるのが説得を持つ部分もあり、如何にも作り物っぽく感じてしまって効果としては微妙な感じもした。
またバンドメンバー各々のバックボーンが余りにも救われない程に悲しいものが多く、上記のテンションの高さも相まって非常に視聴していて疲れた。
劇中に出てくる楽曲はお世辞にもあまり印象に残る物が少なく、個人的には敢えて繰り返し聴きたくなる物は無かった。
良かった点としては、3DCGのクオリティが思いの外高く、崩した表情や何気ない動作がとても自然で、CGもここまで来たのか!と唸らされる部分が多かった。勿論、その反面、3DCGの限界を感じてしまう部分も目立った。
吉野家やコカコーラなど、店舗や商品があからさまに実名で出てくるのは、意識的に大人の事情を感じてしまい、一瞬現実に引き戻される感じもあったが、これは私だけの問題だと思う。
ストーリー自体は、典型的なガールズバンドの立志出世物語ではあるものの、ラストは非常に現実的な落とし所で決着しており、ここは安易に夢物語を見せないという作り手側の強いメッセージを感じて好印象。
恐らくアニメの成功如何、リアルなバンドの成功如何で続編制作可能な終わり方になっていると思うのだが、あくまで個人的な見方として続編が作られるのは相当にハードルが高いのかなと感じる。
アニメ視聴後に色々と情報を探り、このアニメが企画された経緯や、大手の複数企業の思惑、オーディションでメンバーが選ばれバンドが立ち上がり、キャラクターデザインや楽曲制作に実績のある人々が招集され、相当に気合の入った複合的なプロジェクトであった事が理解できた。
この手の多くの人々が関わり、様々な人々の意向が交わる企画というのは、なかなか成功するのが稀なケースが多いように思うのと、本アニメも例外に漏れず、そうした結末を迎えてしまったプロジェクトなのかと感じてならない。
ただ、アニメ自体は最後まで飽きずに観れたし、最終話を観た後も「これで終わり?」と続きが気になってしまったのも事実なので、続編があるのならトゲトゲの皆がスターダムにのし上がる姿も観てみたいとも願う。