とまと子 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
指先が震えようとも
このガールズバンドクライ、はわたしにとって All Time Bestの一作です。
今まで見てきたアニメの中で、文句なしに一番に心を奪われました。
わたしが日常で仕事をしている中では、曲げたくないことを曲げてでもやらなきゃならないことがいっぱいあります。
言いたいことの1割も言えずに黙り込んでしまう場面だってしょっちゅうあります。
でも中にはどうしても許せないこと、見過ごせない誰かのふるまいもあって、
自分を正当化するため、自分が気持ちよくなるために根拠もなく誰かや何かを貶めたり、周りの弱気につけこんでそういう自分の主張を社会的正義にしてしまおうとしたり…
わたしはそういうことには黙ってはいられない。
「どうしてですか? 」って言いたくなるし、言ってしまう。
波風立てないように取り繕うひともいるし、あきれて「大人になれ」って言うひともいる。
無視して傍観する人もいる。
でもわたしの中の、単純に理想を信じ憧れ自分自身もそうあろうとして疑わなかった子供のままのわたしが「黙ってちゃダメだ!」ってわたしを駆り立てる。
こういうわたしがアニメを観続けているのは、そんな自分が「間違ってないよね?」って問いかけて確認するためなのかも知れません。
だって深夜アニメって、そういう子供のままの心を捨てきれなかった「いい歳をした子供」が、夜中ひとりになったときに呼吸を吹き返す…そういうためのものじゃないですか?
これはわたしの勝手な決めつけですが、どんな立場であれリアルでガチで闘って生きている人ならば、そしてどうにもならない自分のちっぽけさに泣いている人ならば、このガールズバンドクライは冷静に客観的には観てはいられずに、知らぬ間に熱い感情を掻き立てられてしまうんじゃないでしょうか。
そういう本当の本気を、心を揺さぶる何かを、このアニメの一話一話が伝えてきてくれます。
アニメ自体のことを何も語っていないこの文章は、もはや感想ですらない単にウザいわたしの自分語りですけれど(ごめんなさい!) 、このガールズバンドクライというアニメ自体は、東映アニメーションが長い時間をかけて切り拓いてきた新しい形の3DCGの表現、3年近くかけた数千人ものオーディションから始まるトゲナシトゲアリという本気のリアルバンド、そしてなにより、ありがちな美少女アニメの枠に敢えて収めず本当に伝えたいことだけを13話に詰め込んだ溢れるほどの熱量を持つ物語のあり方…
すべてが特別なアニメとして記憶されるべき作品です。
それは芸術だのクールジャパンの文化だのそんなキレイなものじゃなく、脚本家の花田さんや東映アニメーションの、音楽を担当されたagehaspringsの、言い訳なしにその時の全力を出し切って仕事に向き合い、作業机にしがみつきながらも上を見て空を睨みつけてきた職人さんたちのお仕事なんだと思います。
名前も知らないその人達の枯れることのないロックンロール魂を、わたしはなによりも尊敬し、愛してやみません。