nyaro さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
ネタバレ禁止。アダルト風アングラキャットファイト…なのか?
これはレビューしずらいですね。ネタバレは面白くないのでネタバレ箇所は注意してください。はじめに言っておくと全5話と短めで、話の展開のテンポがいいのと、なぜかバトルで服が破けます。特に胸やスカートが破けるアダルトゲームのような部分で結構あきません。ほとんどエロくはないですが暴力とエロが結びついた画面の迫力があります。つまり、エンタメとしての刺激が強く、アンダーグラウンドのキャットファイト的な表現が飽きないし面白いといえます。
ストリートファイト系のバトルアニメ「エアマスター」「一騎当千」「天上天下」みたいな作品と、願いが叶う宝石を集めるゲーム形式…「ドラゴンボール」というより「未来日記」「Fate/stay night」のような生き残りゲームの赴きの感じです。
作画は決して良くはないでしょうけど、それなりの迫力があるし、動きもダイナミックなので嫌いじゃないです。キャラデザも女子の書き分けをちゃんと意識しているのもいいですね。
ここから先はこの作品の面白さにかかわるネタバレです。
{netabare} 見終わったときの第一印象として「スクールデイズ」的などんでん返しを狙ったのかなと思いました。つまりアダルトゲームのバッドエンド狙いですね。つまり、破滅エンドです。以下さらにネタバレ注意です。
{netabare} 今までのバトルで負けた女たちが薬漬けにされ売られていた、という伏線の無い落ちが待っています。そして、仲間だと信じていたメインのサブ3人はヒロインを嵌めて、復讐を果たそうとしていたというオチです。
なんの復讐かといえば、謎組織があって、その組織のせいでヒロインの父母に廃人にされた母の復讐という、本当に突然の設定で頭が混乱しますが、不思議なことに5話という短さでそこはストレスよりもむしろ爽快感すら感じるメチャクチャさでした。さらにいろいろあるんですけど、内容はどうでもいいです。そんな感じの終わり方でした。{/netabare}
これは鬱ゲーと呼ばれるゲームジャンルの発展系なのかなと思います。鬱ゲーは2001年前後に集中しており、その発展として恋愛・泣きゲー要素として進化した「スクールデイズ」が2005年です。そのアニメが2007年、そして本作が2008年ですので、そうは遠くない分析だと思います。
要するに「急展開」「エロス」「闇落ち・アンダーグラウンド」「バッドエンド」などによる逆説的なカタルシスなのかなと思います。つまり、騙されることが大事で、その点で前知識がないで見た私は結構、結末に満足しています。
「起承転結」の「結」は脈略なしで力業で畳みます。むしろ「転」の部分が本当の意味で描きたい部分であり、そこで盛り上がろうという作り方です。
実存主義的な不条理として哲学的に捉えることもできるでしょうが、ある意味で因果応報・勧善懲悪にもつながる、悪い奴が悪い結果を迎えるというカタルシスになっている方が大きい気がします。
また、美女・美少女・美男子・金持ちが人間的な尊厳を失う、破滅するというルサンチマン的爽快感もあるのかもしれません。{/netabare}
どこまで考えて作った作品かわかりません。どちらかと言えば時代の流れの後追いの気もします。そういう意味で自分の内面にあるちょっと人には語れない部分を刺激してくる作品だと思います。その分「刺激的で、意外性があって、面白い」と言えると思います。