ぴかちゅう さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
もっと高く評価されるべき
放送時にリアタイ視聴。今回が2度目の視聴ですが、初投稿です。初めて第一話を視聴したときに、ヒロイン花火の声に惚れてしまったという作品です笑 2023年に恐らく推しの子効果が波及して、絶版になっていた原作が刷られたのを機に全巻揃えたので、珍しく原作既読になります。
ヒロインの声優さんは安済知佳さんですが、この作品をきっかけにファンになりました。その後、ユーフォ見たのも、安済さんが出ているのがきっかけだったりします。安済さん、いろんな声ができる声優さんですが、花火は、ユーフォの麗奈っぽい感じの声ですね。リコリコの千束や終末トレインの静留とはちょっと感じが違います。ご本人のYoutubeチャンネルなどを拝見すると、千束ボイスのほうが地声には近いようです。また、当時は(いまもですが)アニメの知識があまりなかったので十分認識できていませんでしたが、他の声優陣も豪華ですね。特に絵鳩さんの戸松遥さんはよかったです。
さらに、作画も素晴らしい。横槍メンゴさんの原作ですから、原作の作画も非常に質が高いのですが、アニメはその上をいっていると思います。ヒロインの描かれ方は特に素晴らしいです。
全巻8話を12話でアニメ化したため、原作のエピソードに忠実な形で作品化がされています。原作のエピソードが十分強いので、それでよかったのですが、ただ一点だけ、最終話は、正直原作のほうがよかったな、と思います。ほぼ同じなんですよ。でも話の順番の若干の入れ替わり等のせいで、アニメの最終話のほうが、花火が麦に未練を感じているような描き方になっているのです。花火が麦と付き合わない「平行線」エンドは、作品の趣旨からすれば当然なのですが、こういう描き方をしてしまったから、このエンドに対する批判余地ができてしまいます。
以下、私のこの作品の解釈です。
本作のテーマは、一人で歩くようになるということ、だと思います。本作の二人の主人公、花火と麦は、一人では片思いの恋愛を抱えられないから、二人でお互いの傷を舐め合う形で付き合い始めます。他方、絵鳩さんと茜先生は一人では立っているのですが、まだすっくと一人では立っていない。「人」という漢字(PC上ではなく手書きの場合)では片方がもう片方に支えられて楽をしていると述べたのは別作品の主人公ですが、その支えられて相手を搾取しているほうが、絵鳩さんと茜先生というのが私の解釈です。そして、メインの登場人物のなかで唯一ちゃんと自分の足で立っているのが鐘井先生なのです。だから、花火・麦(・モカ)よりも絵鳩さんと茜先生は先を行っていて、鐘井先生はさらにその先を行っている。だから、花火は鐘井先生を好きだし、茜先生は最後、鐘井先生と結婚するわけです。そして、番外編にあたる9巻では、{netabare}花火と麦がいまだに試行錯誤しているのに対し、モカが先を行っているのは、モカが3人のなかで一番早く独り立ちしたからです。{/netabare}
というふうに私が解釈する一つの理由は、逆説的ですが、なんていうか、やっぱり2回視聴して、原作も2回は読んだのですが、いまだに鐘井先生の魅力がわからないからなんですよね笑 鐘井先生、鈍感なうえに、茜先生が好きって、それただの面食いですよね、って、私は思ってしまって笑 ヒロイン花火が惹かれる要素がよくわからない笑
だから、作品の目的を上記のように解釈しないと、花火が鐘井先生を好きで、茜先生が鐘井先生と結婚するという本作のメインストーリーが私のなかで納得できないのです笑
そして、上記の解釈からすれば、花火と麦が付き合わないエンドは当然なのです。すっくと一人で立っている二人が、対等な関係で助け合い愛し合うことこそが、理想的になるので、そこに行き着くためには、まず、辛くても一人で立ってみないといけない。花火と麦は、この作品を通してそれを学んだのですから、あのタイミングで付き合うわけにはいかないのです。
OP,EDも素晴らしく、もっと高く評価されるべき作品だと思います。