nyaro さんの感想・評価

3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態：----

なるほど1970年代の欧州・中東ならかなり新しかったでしょう。

　グレンダイザーリメイクにあたって、見られるところを探しましたが、断片的にユーチューブに映像があるくらいで見れていません。その映像を断片的につないで見て思うところです（やっぱりアラビア語の動画が多かったです）。アマプラにありますが１話110円なのでスルー。１話は無料なので見ました。ＷＩＫＩなども参考にしています。

　なぜフランス・イタリア・中東で大人気だったか？大きくは「今までにない映像・アニメ作品」ということで説明できると思います。カートゥーンではありえないストーリー、バトル、映像が大きいと思います。

　まず、ヨーロッパ受けするだろうなという要素として、デュークフリードがスタイリッシュです。審美眼の関係なのでしょうか「セーラームーン」もものすごく欧州の人、フランスやロシアなどで人気の様で同じ感覚なのではないでしょうか。
　騎士的なコスチュームのデザインは、もちろん冷めた目で見ればいろいろあるでしょうが、Ｚやグレートの単純なものと大違いで、これはちゃんとカッコイイと思います。筋肉も描けているし。これはロボットのデザインにも言えます。のっぺりしたＺやグレートと、グレンダイザーのメカ感は大違いです。

　それから「サンダーバード」的な搭乗時のギミックです。サンダーバードは1960年代ですが、それ以降は映像として世界的な作品では無かったのでは？と思います。そして、コクピットというかロボットの断面図もまた良かったですね。狭い通路を滑り降りてゆく感じのカッコよさ。
　基地のメカメカしい映像はもちろん円谷で「ウルトラマンタロウ」などでありましたが、特撮ものはあまり輸出されていなかったでしょう。そこも目新しいです。

　ＳＦ映像です。1970年代にアメリカ・ハリウッドでＳＦ映画が花開きますが、実は1977年のスターウォーズ以前って、巨大なメカが空中で戦闘するってあまり映像的になかったのでは？と思います。「時計仕掛けのオレンジ」とか「ボディスナッチャー」とか「猿の惑星」とかそんなのばかりです。その点でも映像の衝撃はあったのではないでしょうか。

　ストーリーです。バトルものです。宇宙戦争というのもおかしいですけど、これだけ大規模に両軍が戦う作品は特にアニメではなかったと思いますし、映画に広げても無いと思います。確か鉄腕アトムが暴力的だということで批判されたという話を聞いたことがありますが、考えてみれば「アトム」の造形が子供だったからでしょうか？
　デュークフリードはつまり「公爵」ですから戦って当然です。その感性もヨーロッパとあっていたんでしょうか。大人で過去の悲劇やヒューマンドラマもある人物像が描かれます。これは欧米のアニメだとないでしょう。そのストーリーも斬新だったでしょう。そういえば「ベルサイユのばら」もフランスで大人気だったそうで、同じような深さを感じたのかもしれません。

　あとはアラブで言えば、もちろん仏教的な巨大仏像はあり得ませんので、神を模倣した巨大な人間像は見たことがないでしょう。ロボットはその点で機械であり人間の支配下にありますので、そこはクリアしています。その巨大な人型のものが画面で暴れまわる姿は驚きがあったと思います。

　それと、映像のレベルなんですけど、正直Ｚとかグレートって、作画のレベルがひどい部分はひどくて、見てられない古臭さがあります。もちろん今にはない高度な技術の面もあるでしょうけど、全体として見るのが辛いです。ところが、本作グレンダイザーは、その点かなりクリアしていて、特に人間がかなり綺麗な作画で描かれています。メカの光沢や立体感も進化していました。そういう映像的な改善も見られました。


　勝手な解釈ですが、想像以上に映像的には進化していましたし、ストーリーが単純なドンパチ以上のものがありました。キャラも深みがあるし。Ｚやグレートとの作品の完成度のレベルの違いも今回驚きました。
　もちろん、古いです。古いですが1970年代半ばの欧州・中東なら人気がでるだろうなあというのは、なんとなくですが、わかる気がします。


　あ、あと忘れてました。ＵＦＯブームというのがあったそうで。それは…見る限りあまり関係ない気もします。日本ならわかりませんが。
　それと、女子が永井アニメらしくなかなか可愛い…のは関係あるんでしょうか？

　ＯＰはかなり映像的にはカッコイイです。コクピットに座るデュークをコントロールパネルを透明にして下から俯瞰する図とかかなり斬新だったと思います。