Witch さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
良くも悪くも「女子(JC・JK)」という生き物を生々しく描いている
【レビューNo.134】(初回登録:2024/7/14)
小説原作で2024年作品。全13話。
個人的にはそこまで好きな作品ではなかったのですが、ここで交流あるレビュ
アーさんは本作ファンの方が多く、またレビューを書き始めて価値観が変化し
たこともあり、今一度きちんと視聴してみようかと。
(ストーリー)
黄前久美子が入学した京都府立北宇治高校は、10年ほど前まで吹奏楽の強豪校
だったが、現在はすっかり落ちぶれていた。
そんな吹奏楽部に久美子は級友たちの誘いを断りきれず入部する。
新しい顧問の滝昇の元、全国大会出場を目指す選択をした吹奏楽部は紆余曲折
を経て力をつけていく。
そして久美子も3年生に進級、同部の部長にもなり「全国・金」を目指す最終
楽章が始まるのだった。
(評 価)
・良くも悪くも「女子(JC・JK)」という生き物を生々しく描いている
{netabare}例えば『この音とまれ!』と比べても「女子社会」が前面に描かれている感
があり、この辺りがあまり好きになれない理由なんですよね。
でもそこに嫌悪感を覚えるということは、それだけ「女子」という生き物を
生々しく描いているという一種の誉め言葉でもあるわけで・・・
例えば今作だと細かいところですが、水着回で久美子と麗奈が水着の一部を
交換してる描写があるのですが、個人的には微笑ましいというよりキモイと
いうのが率直な感想です。
でも”そういうところで連帯感を深めたい”という男性には謎ですが、
「『女子』とはそういう生き物だぞ!」
と言われると妙に説得力があるんですよね。
(よく言われる「トイレに一緒に行こう」的なw
この「女子(JC・JK)」という年代がまた絶妙なんですよね)
本編でも今作から転校生・黒江真由が登場しますが、これも表面上の言動だ
けを追いかけていると
「地雷を踏まずにはいられないサイコパスか?!」
という酷いキャラ造形ですが、彼女がそういう言動に至る背景が見えてくる
と、「女子社会での処世術」みたいなものが巧みに織り込まれており
「これだから女子の世界は!」
と思わず唸ってしまうんですよね。
しかも今回真由は同じユーフォの久美子や奏への刺客的な役割も担っており、
真由の存在によりこの2人が割を食うという・・・
2人にとってはある意味
「1,2年越しに”特大ブーメラン”が返ってきた」
ともいうべき展開で、これには思わず
「ここまでの壮大な伏線とは・・・この原作者天才かよ!!」
いやーこれは見事な仕掛けでした。
(絶対にどこかで爆発させてやろうと狙ってたよねw)
また1期冒頭で麗奈が味わった「死ぬほど悔しい!」をここで久美子に回収さ
せたのもホント上手かったなあっと。{/netabare}
・意外とあっさりと終わった最終話
{netabare}個人的には卒業に対し、もっと何らかの描写があるものと思っていたので、
最終話の拡大放送や全国大会もお預けで「続きは劇場版で!」みたいな展開
も予想していたのですが、意外とあっさり終わったなっと。
ただ「久美子2連敗」というアニオリ改変がなされたということで
「全国大会での”久美子&麗奈のソリ共演”という見せ場がなくなった」
ことも影響しているのかも。
勿体ぶってスカスカの劇場版を上映するよりは、ここで完結させたのはいい
判断だったのでは。
きちんと久美子の進路まで描いてくれたしね。
これは予想通り、一番収まるべきところに収まったという感じでしたね。
まあ回想が多かったのは(本当の最後という)ご愛敬ですかねw
(単に作画カロリーを減らしたかったのか・・・){/netabare}
・塚本副部長はツライよ他
{netabare}個人的には塚本副部長の(作中の)雑な扱いを含め、「女子優位の部活の実
態」っぽく結構楽しんでみてましたね。
本作では女子幹部の尻に敷かれる展開ばかりで、麗奈からは「仏の副部長」
を責められる描写も・・・
「イヤイヤ、お前が『正論モンスター』で部員を抑え込もうとするから」
組織運営上塚本副部長はそういう立ち回わりをせざるを得ないよね。
本作ではあまり描かれていないですが、見えないところでは頑張っていたに
違いないと私だけは褒めてあげようかとw
細かいところでは久美子の演説が関西大会直前だったのは、ちょっと納得で
きなかったかな。
・オーディション結果等、部員の不満は最高潮
(このままでは関西大会前に部は空中分解するかも)
・大会の数日前にあすか先輩に相談 → 気付きを得る
・場面は関西大会直前へワープ、久美子さん演説を始める
→ ええ―――っ、この問題を放置したまま関西大会は乗り切れないみた
いな描写はなんだったのか?!
(この数日、部の雰囲気はどういう状態だったの?)
あすか先輩の登場等ここまでの緻密な積み上げが完璧だっただけに、「何故
このタイミング?!」という違和感が凄かったですね。
(相談の翌日に早急に演説、数日で部のムードを立て直し、関西大会へ挑む
が自然な流れだろうっと。)
その後の展開で更なる本丸が用意されていたので、ここで尺を取る訳にはい
かなかったのかなあっと、構成都合と割り切ることにしましたが・・・
あと滝先生は音楽家としては優秀かもしれないですが、教育者としてはどう
なんだと。
生徒の自主性を重んじると言えば聞こえがいいが、(部の空気が悪いことに
は気づいているだろうが)口を開けば「手を止めてる時間がないですよ!」
とか原因の一端はあなたでしょうにw
それに再オーデションで部員による投票とか、(見映えはいいが)顧問とし
ての責任はどうなんだと。
ただこの辺は尺の都合というより、ある意味女性作家らしい割り切り方かな
っと感じましたね。
(男性作家だと教育者の責任とかを考慮して、先生にそれなりの役割を与え
てしまい、こうはドライに描けないだろうなっと){/netabare}
そんな感じで私の価値観も大分変わったところもあり、今作はかなり楽しめた
感がありますね。
過去作も今見直してみると違った形で見えるんだろうなっと。
「女子」という生き物をここまで生々しく描いている作品はそうそうないと思
うので、なかなか見応えのある作品じゃないでしょうか。
男性作家が描く”青春モノ”とは差別化できており、女性作家らしい感性が随所
にみられる点がなかなかに興味深いですね。
最後に交流あるレビュアーさんからの刺激がなければ、価値観が変わらなかっ
たと思いますので、皆様には感謝ですね。
アザ━━━(*゚∀゚*)ゞ━━━ス!!