「好きでも嫌いなあまのじゃく(アニメ映画)」

総合得点
67.7
感想・評価
19
棚に入れた
61
ランキング
2358
★★★★☆ 3.6 (19)
物語
3.2
作画
4.0
声優
3.7
音楽
3.7
キャラ
3.5

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ネタバレ

ひろたん さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

み~んな「あまのじゃく」じゃん

この物語の舞台は、米沢市です。
米沢牛のすきやき、美味しいですよね。ちょっと高いけど・・・。

コロリド作品は、現実的でもあり、絵的でもある独特な質感の作画が綺麗ですね。
舞台となった実際にある場所をアニメで表現するにはとてもよい作画だと思います。


■み~んな「あまのじゃく」じゃん
{netabare}
「あまのじゃく」の意味は、「素直でない人・素直になれない人」。
本当は寂しいのに、寂しくないと言ってみたり。
本当は好きなのに、嫌いと言ってみたり。
自分の気持ちに嘘をつき、自分の気持ちを押し殺していると・・・、
そのうち、天邪鬼、つまり、本当に"鬼"になってしまうそうです。

この物語は、「素直になれない」ことを「天邪鬼」をモチーフに描きます。
また、天邪鬼は、神話に登場する天探女(あまのさぐめ)の転訛と言う説があります。
天探女とは、巫女のことです。
天の動きや未来、人の心などを探ることができるシャーマン的な存在だそうです。
しかし、その力を使って悪戯をしたことにより小鬼へと変化していったとのことです。

そして、この物語でなかなか面白いと思ったのは、「あまのじゃく」と言う、
「素直になれない人」と言う人の心を主題に置きながらも、
その由来となった巫女をもモチーフに据えていると言う二重構造。

その巫女とは、ヒロインのお母さんです。
「みんなのため」と言いつつ、自ら巫女になりましたが、本心は違いました。
「なぜ自分だけ」、「娘と暮らしたい」、そんな気持ちをもっていました。
これもまさに、「あまのじゃく」の「本心を隠して裏腹なことを言う」そのものです。

また、その巫女を囲っているのは、「鬼の里」です。
ここは、鬼達が人間とほぼ同じ暮らしをしながらも、人間から隠れているところです。
民話によくみられる「隠れ里」がモチーフなのです。
しかし、この鬼達もまた、本当は、人間と仲良くしたいと内心では思っています。
しかし、表向きは「仲良くしたくない」と言っている鬼達なのです。
だから、天邪鬼の集団なのです。

まるで、仲間に入れてほしいけど、それを素直に言えない子供のようです。
{/netabare}

■「変わる」ためにはどうする?
{netabare}
主人公もヒロインもそのお母さんも鬼の里の鬼達も、み~んな「あまのじゃく」です。
けれども、実は、自分達もそれは分かっています。
そして、「変わりたい」とも思っています。
でも、ちっとも「変われない」のです。
なぜなら、変わりたいと思いながらも、その気持ちに蓋をしているからです。
つまり、「変わりたくない、このままでいい」と思っているのです。
やっぱり、「あまのじゃく」だからなんです。

では、「変わる」ためには、どうしたらよいのでしょうか?
この物語では、それは、「素直」になればいいと言っています。

では、「素直になる」とは、どう言うことでしょうか?
それは、「勇気を出す」ことと同じ意味です。
「素直」になると言うことは、目の前のことから逃げてはいけないと言うことです。
主人公とヒロインは、最後、自分に素直になりました。
つまり、勇気を出すことによって、問題を乗り越えたのでした。

「あまのじゃく」の子供も同じです。
一緒に遊びたければ、勇気をだして「仲間に入れて」と言えばいいのです。
{/netabare}

■まとめ

主人公とヒロインは、問題を乗り越えることによって「成長」しました。
コロリド作品の王道の展開ですね。
子供の成長を描くのがとても上手い。
成長って、曖昧でいつ成長したのかを説明するのはむずかしいものです。
一方で、不思議なもので、「成長を目の当たりにする」と言う言葉もあります。
コロリドの作品はまさにこれ。
子供たちの成長の瞬間を目の当たりにしたかのような気持ちにさせてくれます。
それは、成長前後のコントラストがはっきりしているからです。
そのため、その瞬間をあたかも今、目の前で見たような気にさせてくれるからです。

なんとなく、とある作品に似ているぞ、展開が強引だぞ、と思わなくもないですが、
王道のジュブナイル作品として、とても楽しめた作品でもあったかなと思います。

投稿 : 2024/07/13
閲覧 : 55
サンキュー:

10

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