takarock さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
北宇治高校吹奏楽部青春物語~coda~
『劇場版 響け!ユーフォニアム ~誓いのフィナーレ~』のレビューで、このようなことを書きました。
「まぁもう久美子は成長し切ってますからねw」
特別な存在である麗奈と肩を並べられる存在でありたいと願い、真剣に演奏と向き合う久美子。
あすか先輩からバトンを受け取り、部長として部内をまとめていく久美子。
確かな実力を備え、部員たちからの信頼も厚い。
後は最後の大会で、ソリストとして麗奈と協奏して、悲願である全国金の獲得。
物語が始まる前からもう道筋は見えています。
しかしそれじゃあ、おもしろい話にならないじゃないですか。
私は以前のレビューでこう書きました。
「物語前と物語後で、どう主人公が変わったのかというのは、
創作する上で最初に決めなければいけない程、重要事項です」
『響け!ユーフォニアム』の集大成となる今作において、久美子の成長は絶対条件です。
それでは、成長し切っている盤石な久美子をさらに成長させるにはどうしたらいいのか?
その答えはもちろん、黒江真由の投入です。
超強豪校である清良女子高校吹奏楽部で、久美子と同じユーフォニアム担当の黒江真由が
北宇治高校に転校してきます。
彼女の投入によって、部内はかき乱され、久美子にとって立ちはだかる存在になるのですが、
どうにもこの黒江真由というキャラは役割ありきの存在に思えてしまい、好意を抱きづらかったです。
もちろん、彼女のことが好きという方もいるでしょうし、
丁寧に読み解けば彼女の内面を知ることができ、好意を抱いたということもあるでしょうが、
極めて感情移入しにくいキャラだったのは、間違いないと思っています。
その点から言えば、黒江真由主役のスピンオフ作品を観てみたい気持ちはありますが、
いろいろと厳しいと思います。
最初から重荷を背負わされているキャラだけに、もうちょっと掘り下げて欲しかった。
物語のクライマックスであるソリスト選考、
原作を改変したそうですが、ここはもう久美子が敗れるしかないと思っていました。
だって、そうすることによって
今作の最大のテーマである「久美子の成長」が最大限際立つじゃないですか。
最後の大会でソリストとして麗奈と協奏できなくて死ぬ程悔しい、
それでも「これが今の北宇治のベストメンバーです!」と毅然と部員たちを鼓舞する久美子。
「特別な存在である麗奈と肩を並べられる存在でありたいと願い、真剣に演奏と向き合う久美子。
あすか先輩からバトンを受け取り、部長として部内をまとめていく久美子」
この焼き直しとも言えます。故に集大成と感じた人も多いでしょう。
後に指導者として部内をまとめていくという観点からも、
久美子の敗北は非常に説得力があると感じました。
北宇治高校吹奏楽部青春物語も長いこと続いてきましたが、
振り返ると一瞬というか、一抹の寂しさもあります。
何年経っても記憶に残るであろう、素晴らしい作品でした。
(おまけ)
私は以前のレビューで、「(麗奈との)百合要素は1期がピーク」と書きましたし、
その後塚本秀一との関係が発展していきそうな予感を臭わせていましたが、
綺麗さっぱりなかったことにされていますねw
原作ではそのような描写もあるようですが、アニメではやはり不評だったのかなとw
結局「百合しか勝たん」ということか…