「響け!ユーフォニアム3(TVアニメ動画)」

総合得点
82.2
感想・評価
300
棚に入れた
819
ランキング
372
★★★★★ 4.2 (300)
物語
4.2
作画
4.4
声優
4.2
音楽
4.2
キャラ
4.2

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ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

結局なぜ久美子はその進路を選んだのか描けてました?

 京アニ作品はいろいろあってもういいかな、と思っていましたが、さすがに本シリーズの結末は確認しました。

 で、最期まで見ての感想なんですけど、なぜ久美子は {netabare} 教師を選んだのかさっぱりわかりませんでした。
 1期で麗奈に触発され練習に目覚め、2期でアスカ先輩の音楽家としてのレベルの高さにあこがれを自覚した久美子がなぜ教師を選ぶのか?が3期は描かれなければならないと思います。

 劇場版で久美子が指導・調和を意識しているようにも見えないので、そこのなぜ?が消えません。そもそも久美子が部長に選ばれたのかよくわかりませんでした。ですがそこはいいでしょう。

 ただ、部長になることで、演奏家としての高みを目指すのか、それともブラスバンドの演奏としての調和を実現するため部長として奮闘するのか?が、結末の方で流れ的に描かれるのかなと思いました。

 ですが、結果として自分の才能のなさを自覚して、あきらめかけていた時に教師という道に逃げたように見えてしまいました。部長として部をまとめるためというより「正しさ」という言葉に逃げることが、部長として正しいのか?が描かれないので、後半がグダグダになったと思います。演奏として「正しい」ことが、高校の部活のブラスバンドとして正しいのか?

「お前ら全国に自分たちで行きたいって言ってたじゃん」はダメな部活が再生する物語としてはいいです。が、シリーズ通じてそれの繰り返しになってしまいました。

 久美子の教師へのあこがれに納得感がないのが、滝先生の教師としての無能さです。オーディションというのは教師が責任をもって選ぶべきだと思います。生徒の多数決は教育者としての逃げでしかありません。そして、前段として教師であれば、あるいは合宿のときの他の指導者でもいいですけど、なぜ久美子が落ちるのか?どこを改善すべきなのかを誰も言及しません。「同じくらい上手い」を繰り返すばかりです。
 そこの「なぜ」に久美子の演奏家としての弱点があるならまだ話は理解できます。音大生でもない高校生のブラスバンドで、その指導がないのはあまりに自主性という名の無責任な気がします。そしてその指導ができないなら、オーディションに信頼性など持てません。

 1期のときの多数決は、明らかに演奏のレベルに違いがあるのでそれをわからせるための公開処刑だったと思います。今回はどっちが上手いかわからない状態なのに生徒に押し付けるって…

 まあ、テーマ的に劇場版含めてずっと「誰が上手い」「3年生が優先だ」の繰り返しでしたけど。どれも人間関係のグダグダの理由づけでした。

 それでもめごとが起きて自主的に解決せよ…滝先生は結局「人が大事」という奥さんの言葉を思い出しますが、人を見てないじゃんと思います。挙句の果てに演奏のことしか考えていないし、滝=演奏としての「正しい」ことの追求ですからね。

 そう、滝先生は結局「正しい」という呪縛から逃れられないから、演奏サイコパスなのです。そこが麗奈があこがれている理由でもあるでしょう。結局麗奈は楽器の道を行き、久美子と決別しました。あそこはいいと思います。仲直りはしましたが、あれは別れでしょう。

 となったときに、滝先生のは「正しい」はコンクール音楽が分からないと言いながら、コンクールの正解を探しているようにしか見えません。そこの相対化ができないから麗奈が成長しているように見えません。

 結果としてせっかく無理な設定で登場させた転校生真由が全く生きてきません。真由は「正しい」=「上手さの順位」を追求する上手さの呪縛から逃れようとしていました。まあ、私は脚本家でも原作者でもないですが、この流れならオーディションを久美子は自らの意思で降りるべきでした。そうなら教師を目標にすることに主体性が感じられます。
 それなのにオーディションをすることで滝・麗奈連合の正しい、演奏至上主義をひっくり返せません。つまり、部長・教師という存在がまったく描けていません。

 そして何より、田中先輩をなぜ登場させたのか?彼女は自分の演奏一直線で副部長としては無能でした。その先輩のアドバイスをなぜ聞きに行くのか?要するに田中あすかも結局は演奏サイコパスです。真由を打倒する方法のアドバイスを求めるならわかるのですけど。

 そして、最期の教師になったときの花の髪留めです。まあ、ほっとする終わり方をしたいといのはわかりますけど、高校のときの同級生と付き合い続けている=成長がないという風に見えます。久美子の人生は豊かだったのか心配になります。
 また、滝先生に触発されたのなら音大だと思うのですが?副顧問にあこがれてならわかるのですが…久美子は教師の何に向いていて、何にあこがれたのでしょう?結局そこの納得感が一番ありませんでした。{/netabare}


 評価はしないでおきます。京アニというよりも原作者が無理に続けた結果、久美子をいじめるだけの作品になっちゃったなあという気がします。

 なお、演出やシーンは京アニだよね、という感動ポルノの連続で評価に値しませんでした。

投稿 : 2024/07/11
閲覧 : 399
サンキュー:

18

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