タック二階堂 さんの感想・評価
3.6
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
恥の多い生涯を送ってきました。
詳細は公式サイトでも。あるいは太宰治『人間失格』でも読んでくればいいぢゃないですか。
ということで、もしも太宰治が異世界転移したら、というファンタジーです。小学館『やわらかスピリッツ』連載中の太宰治さn…ぢゃなかった、野田宏さん原作コミックのアニメ化作品です。制作は「異世界おじさん」のAtelier Pontdarcになります。
気が狂ったかのように「異世界転生装置」のトラックで人間を異世界へと送り込んできた“駄・なろう”へのアンチテーゼのように、玉川上水に入水して心中を図ろうとしているセンセーとさっちゃんを、なんとトラックがはね飛ばすというw
そして、異世界転生した冒険者(勇者)は、押し並べてチート能力を与えられるという、これまた“なろう”テンプレをあざ笑うかのように、極めて低い能力値しか与えられないセンセー。
死に場所を探して、異世界を彷徨い歩くという話なのかと思いきや、心中しようとしていたさっちゃんも異世界へ来ているという予感に従い、センセーはさっちゃんを探すことを目的に生きることを決意するのでした。
という初回。
お見事。
駄・なろう異世界モノっぽい世界観で、そのアンチテーゼを散りばめつつ、太宰のキャラクター性を生かして小気味のいいギャグを積み重ねていくといったストーリーです。
アトリエポンダルクおよびこの監督は、「異世界おじさん」でもキレのいいギャグでダークホース的ポジションを獲得しましたが、いかんせん1クールのアニメを制作するには実績・経験がなさすぎて度重なる万策尽きを起こしたという経緯があります。
はたして本作はどうなるか。まさに試金石の一作。ぜひ、「恥の多い制作」にならないようお願いしたいものです。あ、えっとセンセーのCV:神谷浩史さんというのもいいですね。まるで絶望先生のようだw
=====第4話視聴後、追記です。
{netabare}
ここまで、いい具合で「なろうアンチ」的なストーリーを展開してきた本作。太宰の目的も明確化し、不届きな転移者を成敗するといった内容になるというところ。
そして今回では、そういった転移者に対して、オリジナルスキル「異世界失格」を発動。現実世界へ送り返すという話でした。
いやあ、お見事。
面白かったですよ。
ただ、画竜点睛を欠くとはこのことで、ラストのCパート。現世に送り返されたスズキのその後を描くんですが、これがねえ、まさに蛇足。
本編ラストで太宰が「彼の物語はこれからだよ。どんな人生を送るのかは彼次第だ」なんて言ったんだから、もう見せなくていいんですよ。あとは読み手に想像させれば。
もったいないなぁ。なんで、こう余計なことをするかねぇ。
でもまあ、これはいい回でした。
{/netabare}
=====最終話視聴後、感想です。
{netabare}
うん、面白かったですよ。
アトリエポンダルクも万策尽きもせず、しっかりと最後まで走り切りました。
なんていうんでしょうね。
ギャグとシリアスのバランスがちょうど良く、しかも飽きさせない展開。出てくるサブキャラも、主人公のセンセーを邪魔しない良い塩梅でした。
まあ、さっちゃんがラスボスというのも、予定調和と言えばそうなんですが(さっちゃん→幸ちゃん→小林幸子→ラスボス)、それも引っくるめてエンタメとしてちょうどいい作りだったと思います。
2期が来ても観ます、これは。
{/netabare}