猫好き さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:今観てる
アニメ化したら、キモさだけが目立つのは何故?
Kindle Unlimitedで掲載雑誌のフラッパーで読んでる。これは好きな作品で、主人公のタクマは会社と小さなアパートを行き来するだけの生活を送っている。ヒロインのミーナは中古の廉価版家事ロボット。発声は口では無くスピーカー、金属むき出しボディ。ただ、時々プログラムされていないはずの動きを見せる。そんなロボットに酔った勢いで結婚してくれとお願いしたタクマが始めるロボットとの新婚生活
人形に恋をしてしまう物語は昔からたくさんあるけど、これはそのなかでも会話やミーナの微妙な変化が絶妙で、ロボットというよりも発達障害の奥さんとの結婚話に思えなくもない、なんとも不思議な物語
と、原作はそうなんだけど、アニメ化したらなぜかタクマのキモさが目立ってしまって、「あれ?こんな人だっけ?」という印象。少なくとも第一話だとただの勘違いな孤独な青年が女の子の形をした家電品に一方的に癒し(セックス)を求めているだけという感じが、、、
まぁ冷静に考えればそんな話なんだけど、漫画の方は彼はこんなに気持ち悪くないのが不思議
何が違うのかよくわからないからそれを中心に見て行こうと思うけど、今のところは声優さんのせいか、そもそもこの二人に声が付いた段階で見てる方が現実にひきもどされてしまって、状況をよく考えるようになってしまったからかな、と思ってる
ーーー
四話目か五話目まで見て、そこで原作を読み直して考えさせられた。元々この作者の描く主人公は善人であるけど、自己評価の異様に低い人達が状況に巻き込まれて行く話が多いし自分が元々何が欲しかったのか理解してない人たちばかり。もちろん彼もその一人
それと性的なネタも結構あるしよく考えたらかなり異様な状況も多いけどサラッと描かれているからあまり生々しくは感じない
ただ、アニメ化ではそのままの彼を描こうとするとかなり難しいのだろうと思った。だから行間を埋めるように肉付けするためにもっと具体的な青年男性の行動を描くしか無かったんだろうとは思う。例えば寂しい男が何を願うってセックスでしょうって
確かにそうなんだろうし、それをビジュアルにしたらどうやってもキモくなるのは仕方ない。そもそも廉価版、しかも(この世界においては)中古の電気釜みたいな物に恋心抱くって(私達にとっては)普通の感覚では無い
それが納得しづらいからと彼の性格や言動を説明できるように一部を強調しすぎたのかなと思った
でも原作のこの世界の中の常識は現代日本とは全然違う。例えばアニメの冒頭では彼はブラック企業で毎日身をすり減らしているような感じだけど、原作では会社関係者は物凄く理解のいい人たちばかり。彼がロボットと結婚しようと「子ども」を作ろうとそれを尊重してくれるし、何かあったら早く家に帰るようにと諭してくれる。ある意味、ダイバーシティは普通。本人たちがそう決めたなら、そうなんだろうと納得して尊重する世界
実のところ、これは私たちの世界が進歩した数世代あとの世界とかではなくて、異なった並行世界での物語と捉えた方がよりすっきりすような感じ
それなのにアニメ化では現代日本青年の孤独の解消みたいな始まり方で彼を描いて理解しやすいようにしているのはどうなんだろう。少なくとも原作ではロボットに恋してしまうことは普通かよくあるかどうかは別にして周りからは尊重されること。彼だって寂しいから、生活に疲れたから、彼女が居ないから、性欲があるからでミーナを好きになったわけじゃなくてミーナだから好きになったと思える
それがことあるごとに彼の性衝動と経験不足からくる無様な行動を細かく描写されてしまっても、劣化したラブコメにしか感じられないというところ
とはいえアニメの方は妹が出て来たり他のミーナシリーズやそのオーナーとの関係が出て来たりで、ストーリーが中心になって来て彼自身に違和感を感じることは少なくなって来て(妹の方も随分な変態だしw)見てはいられる。でも、どうも根本的な解釈違いが気になりますねぇ